境界線のあれこれ 72 <川とか池とか>

取りだめしていた録画「緊急SOS危険生物から日本を守れ!池の水を全部抜いて全滅大作戦」をようやく観ることができました。。



以前、井の頭公園かいぼりを実施していたところを見たことがあります。
井の頭池は、神田川の源泉のひとつになるぐらいの湧水が湧き出てできた池だと思っていたので、そんな大掃除が必要なのかと驚いたのでした。


また最近、ちょうど水元公園の巨大な池を見たあとで、あの池を管理するのは大変そうだなあと感じていたところでしたので、興味深く観ました。



<池やため池も河川のひとつ>


その番組の中で、岐阜県の美女が池の水を抜く作業には驚きました。
ポンプであの湖のような大きな池から水を抜くのかと思ったら、なんと「排水溝の栓を抜く」様子が映っていました。
「美女高原」のHPにも、その写真があります。


ため池とか池というのは、ただ水が溜まっているイメージだったので、いやはや、この年になるまでまたまたほとんど知らなかったことに恥じ入りました。


「人工の川」で紹介した、「水路をゆく 東京の川・運河を巡りつくす!!」(イカロス出版、2011年)で、「そもそも川って何?」(p.58)にこう書かれた箇所があります。

「河川法」という法律の上からいうと、川とは「公共の水流および水面」であり、「社会通念上の河川ほか、溜池などの自然の流水および水面を含」んだものである、とされている。ちなみに「社会通念上の河川」とは何ぞやというと、「自然水流または自然水流の疎通をよくするために築造された人工水流なのだそう。

つまり、我々が知っている自然にある川やそれを修復した流れはもちろん、時には池や沼、人が掘った掘削も、法律にのっとり「これは川であるという指定を受ければ「一級河川○○沼」「一級河川××掘」となることもありうる、ということだ。


なるほど、ただ水が流れているのが河川ではなく、もう少し大きな概念があるようです。
そして「自然」と「人工」も、白黒つけられるほど単純ではないということですね。


あの水元公園の「概要・見どころ」に書かれている、「小合溜という準用河川を中心とした都内最大の水郷公園である」という意味が理解できました。


地図をみても、あの小合溜から周辺の川への水路がなさそうなのになぜ「川」に分類されているのだろうと思って読んでいたのですが、小合溜井の説明を読むと、「自然水流の疎通をよくするために築造された人工水流」ですね。

小合溜井は、江戸時代に作られた溜井の1つ。「溜井」とは、用水を確保するために河川を堰き止めて作った用水池である。古利根川(中川)の一部で享保14年(1729年)徳川吉宗指示の元、紀州藩出身の伊沢弥惣兵衛が水害防止、及び灌漑用水を調整する遊水池として設けたものである。


河川や川という言葉ひとつとっても、奥が深いですね。





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