小金がまわる 10 <看護職賠償責任保険>

日記代わりの手帳を見直すと、私が看護職賠償責任保険制度に加入したのは2007年のことでした。


「Coconas」というサイトの「看護師の医療損害賠償保健について」という記事を読むと、この看護職賠償保険制度が始まったのが2001年のようです。もしかしたら、2001年当時に勤務していた総合病院では加入していて、その後2000年代半ばに産科診療所へ転職した時に一旦止めていた可能性もありますが、はっきりした記憶がありません。


ただ、やはりこの件をきっかけに、ひしひしと医療事故にあった時にまず自分を守るのは自分だということを感じたのだと思い返しています。


冒頭でリンクしたサイトの「個人で加入する必要がある看護職賠償責任保険」では、以下のように説明されています。

看護職賠償責任保険制度は、ナース個人が加入します。病院が加入する医療法人保険では、看護師個人の賠償事故をカバーできないこともあるだけでなく、病院側が看護師を過失により訴えることもあります。
そのような場合にも対応できるように、個人で保険に入っておくことが必要なのです。

対人補償や対物補償だけでなく、事故調査費や見舞金などの初期対応費用と、弁護士費用や調停や裁判に必要な訴訟費用に保険適用されます。
また名誉毀損や秘密漏洩などで人格を損害された場合の訴訟費用にも適用されます。
また、看護師賠償責任保険制度の契約者は、実際に医療裁判になった時に、専門の知識を持つスタッフのサポートも受けることができます。
賠償金が妥当な額であるのか等のチェックも行えますので、万が一の場合にもあわてずに対応することができるでしょう。


「一生に一度遭遇するかどうかの事態」の渦中にあると、まずはその状況に動揺し、自分を責めたり、反対になんとか自分の判断が正しかったと合理化しようとして揺れますから、まともな判断というのは一人では難しいものです。


周囲の医療スタッフも、多くはそのような経験を持たない人たちでしょうから、どのように対処してよいのかわからないことがほとんどでしょう。
医療の専門知識はあっても、法律には手も足も出ない感じでしょうから。


2007年に看護賠職償責任保険制度に加入し、ニュースレターが送られて来た時には、なんだか一筋の光を見たように安心した記憶があります。
医療事故などに遭遇した時のために、相談窓口の電話番号が書かれていたからです。
「ああ、一人で悩まなくていいのだ」とほっとしました。


年間3000円程度で、医療事故に遭遇した時の相談窓口がありサポートしてもらえるのですから、保険制度というのはすごいと思いました。
そして、幸運にも私が医療事故に遭遇しなかった年は、その3000円は日本の他の看護スタッフのサポートのために使われるのですものね。


そして年に1〜2回送られてくるニュースレターは10ページほどの薄い冊子ですが、医療事故に関する具体的な特集がわかりやすく説明されているので、いつも隅から隅まで緊張感を持って読んでいます。



そうそう、「なぜ無実の医師が逮捕されたのか」の中で、ちょっとびっくりしたことがありました。
弁護士である著者が、「あの時に弁護士に相談すればよかった」(p.278~279)と書いていらっしゃったことでした。
逮捕される前に弁護士をつけていたら経過が違っていただろうということと、著者が「この本を買ってくださるドクターの方、この本で一番言いたいのは、ここです。」と書かれていました。


私たち看護職もまた、何かがあれば法律の専門家の助けが必要になる時代になったのですから、備えあれば憂い無しというあたりでしょうか。




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