観察する 25 <観察されている>

六義園への散歩ですが、先を急いでいた理由があります。


だいぶいろいろなところを歩いたので、地図をみるだけでだいたいの所要時間と疲労度が、けっこう予測できるようになりました。
雑司ヶ谷から歩き始めれば、六義園の後に上野動物園にも行けると踏んだのでした。


先日、激混みの通勤電車で目の前に立っていた中年男性の髪の毛がすごいことになっていて、今風にセットしたというより明らかに寝グセだと思われるグシャグシャのスタイルが、風に吹かれているハシビロコウにそっくりです。
そうだ、久しぶりにハシビロコウに会いに行きたいなあと思っていたのでした。
六義園から南北線に乗り、東大前で降りて少し歩けば上野動物園池之端門ですし、入ってすぐにハシビロコウがいます。


ということで、少なくとも午後4時までには動物園に着きたいと、足を早めたのでした。



池之端門から入ると、すぐ目の前にハシビロコウが立っているのが見えました。
同じ所に立っているのですが、その日は盛んに毛づくろいをしているので、よく動いているほうかもしれません。


毛づくろいで、タンポポ状のダウンがフワリフワリとあちこちに飛んでいます。
目の前にフワリと落ちて来たそのダウンを掴まえたところ、触った感触が無いぐらいの軽さと繊細さで驚きました。


前回、見に来た時は本当に40分ぐらい微動だにしない感じでしたが、今回は体や顔の角度を時々変えるので、そのたびに、見ている人たちが「わあ、動いた!」と喜んでいます。



そのうちにハシビロコウが歩き始めました。
今日も動く姿を見ることができたとワクワクして、その行動をずっと見ていたのですが、そのまま小屋へ入って行きました。
そしておよそ2分ぐらいしたところで、閉園を知らせる音楽がなり始めたのでした。


もしかしたら、「今日も人間の相手は終わりだからね」「本日の営業終了」だったのかと思うほどの、絶妙のタイミングでした。


「動物園のお客さんに対してもお辞儀をするハシビロコウもいる」とのことなので、やはり、動物園では私たち人間の行動も観察されているということなのでしょうね。






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