世界はひろいな 46 <パンダの世界>

3年ほど前に急に思い立って上野動物園にパンダを見に行ったのですが、それからもパンダの映像を見て親近感はわいても、まあ「話のタネに1回実物を見た」くらいの気持ちでした。
シャンシャンが生まれた頃もちょっと斜に構えて見ていたのですが、最近では「パンダを見に行く」ではなくて、「会いに行く」という表現にまで変化しました。


せっかく会いに行ってもわずか1〜2分で見学は強制終了ですし、1回目はシンシンもリーリーもシャンシャンも起きていてちょうど竹を齧っている様子を見ることができたのですが、2回目は全員がお腹を上にして昼寝中でした。
パンダの生活史を把握していれば、もう少し活発に動いている時間とかを狙えたのかもしれません。


でも「活発に動いている」様子を知っているのは、パンダの知識が確実に増えたからだと思います。
昔だったら、動物園や水族園に行っても、その時に見たその一面だけでその動物を知った気分になったことでしょう。
最近では、上野動物園東京ズーネットが映像や写真、そして説明を刻々とネットで配信してくださるので、パンダの生活や成長を身近に感じることができます。


相変わらず専門的な知識には程遠いのですが、たくさんの疑問が出てきて、それがその動物への関心へと繋がるおもしろさがありますね。
ということで、今日も小学生の見学日記のような話です。


<案外と遅い成長のペース>


シャンシャンがまだ自力で動けない時期、ヒトでいえばようやくハイハイぐらいの時期から一転して、木登りまでするようになったのには驚きました。
上野動物園「ジャイアントパンダシャンシャン公開までの記録 シャンシャンすくすく6ヶ月」を読むと、「生後150日 初めて丸太の登頂に成功」とあります。


最初の頃の映像では、自力で歩くことができずにシンシンに首を咥えられて移動する様子がありました。
学生の頃に人間は他の哺乳類と比べて1年ほど早産であるという説を聞いたのですが、あれはやはり「説」の一つにすぎなかったのでしょうか。
パンダをみていると人間に近いように感じました。
他の哺乳類なら出産後は自力で立って歩いたり自力で泳ぎ始めるイメージでしたが、動けるまで何ヶ月が必要な哺乳類もいることを、シャンシャンの動画で知ることができました。


もうひとつ、案外遅いのだと印象に残ったのが離乳です。
1歳近くになってようやくリンゴや竹を齧る様子が見られたのですが、「乳」だけであれだけの成長発達をするのも不思議な動物だと感じました。


竹という消化しにくい食べ物を栄養にするためには、離乳が遅いほうが安定した消化能力を得られるのだろうかと想像しました。
似たように消化しにくいユーカリを栄養源にしてきたコアラの離乳の時期はいつ頃だろうと検索して見たら、「AUSTRALIAN KOALA FOUNDATION」というサイトの「コアラの一生」に、「生後6〜7ヶ月の間、赤ちゃんコアラのは母コアラのミルクだけ飲んで袋の中で生活します」とあり、その途中で「パップ」と呼ばれる母体の盲腸内で消化されたものを離乳食として食べることが書かれています。
動物園の説明で「コアラはお母さんのウンチを食べる」という、あれですね。


そう考えると、世界中で生後1ヶ月ぐらいから多様な食物を与えられてきたヒトは、消化能力で比較すればパンダやコアラよりも成熟して生まれてきたということでしょうか。



<痛みとか怖さとかはないのだろうか>


一旦、自力で歩けるようになると、その後の運動能力の発達には目覚ましいものがありました。
シンシンの後を転げるように追いかけ、木に登るようになるまではあっという間でした。


一人で行動し始めるシャンシャンの映像を見て興味深かったのが、結構な高さからよく転落していたことです。
見ている方が、「痛い!」と声になりそうです。
でも全然平然としてまたコロコロと動き始めるのですから、パンダの痛覚ってどうなっているのか、怪我や骨折はしないのかと不思議です。


ヒトだと、「新生児だから動かないと思った」と目を離してしまい、転落して親が真っ青になるのが生後1ヶ月前後ごろ。
その時期あたりからとにかく目を離さずに、怪我をさせないようにと子どもの未熟な運動機能や判断力を周囲の大人が見守らなければいけないですし、よく怪我をしたり痛がって泣いたり、てんやわんやの時期なのですけれど。


パンダは痛いとか怖いとかないのでしょうか。
どうやって運動能力や判断能力を身につけていくのでしょうか。


それぞれの生物の世界は、知れば知るほど未知の世界ですね。



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