観察する 28 <タチツボスミレはどうやって広がるのか>

先々週あたりから、私が大好きなタチツボスミレが群生する場所が秘境の趣きに変化しています。
一週間ごとにタチツボスミレの数が増え、先日は立ち止まって見とれてしまいました。


この群生する場所を見つけて3年目ですが、今年は今まで気づいていなかったのか、それとも今年初めてそうなったのかわからないのですが、あることに気づきました。


タチツボスミレが群生しているのは、道路沿いの私の肩ほどの高さの土手の上です。
そしてその土手はコンクリートブロックで固められているのですが、ブロックのすき間に苔が繁殖しています。
その苔の上に、ところどころタチツボスミレがぽつんぽつんと咲いているのです。
地面に対して水平に近い向きのままで、花が咲いています。


なんと過酷な場所で生きているのでしょう。
苔は毎年あった気がするので、昨年も一昨年前も同じように苔の上でぽつんと咲いていたタチツボスミレがあったはずだと思うのですが、群生している華やかな方に目を取られて、見えていなかったのかもしれません。


でも、なぜ苔の上に一株生えているのでしょうか。
タチツボスミレは種で繁殖する種で、風や虫、鳥などによって運ばれたのでしょうか?
大好きな花なのに、その生活史をほとんど知らなかったのでした。


ということで、さっそく自宅に帰って検索してみました。


ひとつは農研機構という政府の研究機関のサイトに、「タチツボスミレ」の記事がありました。
「特徴」の中で、「種子もつけるが、主に短い地下茎で繁殖する多年生」とありますから、やはり種が偶然苔の上に落ちて、そこから生えたのでしょうか。


ちょっと横道ですが、その「人との関わり合い」では、万葉の時代から「食されていた」ことが書かれています。

タチツボスミレの新歯や花も食べることができる。天ぷらにしたり、軽く茹でて、水に晒し、お浸しや胡麻和えなどにする。

タチツボスミレを愛する私としては、「あ〜たべちゃあダメ!見て楽しむだけにして。食べるのは救荒作物としてだけでお願い」と言いたいですね。


もうひとつ、「アメフらんど」というサイトの「すみれ」に、もう少しその繁殖が詳しく書かれていました。
「群馬のスミレ」という本を、昨年出版された方のサイトのようです。

もう一つ、スミレの特徴としては、スミレの繁殖方法です。スミレの花は春に咲きますが、実は夏から秋にも花をつけています。春はきれいな花を咲かせ、他のスミレと受粉して実をつけます。その後は、花弁のない蕾のような状態の花で、自分の花粉で実をつくるため花は目立ちません。春の花弁のある花は解放花と言い、他の花の花粉と受粉して種子を作るため、遺伝的に多様な形質を持ち、環境の変化に対応する子孫を作るのに役立ちます。夏や秋の花粉のない花は閉鎖期と言い、自分の花粉で受粉(自家受粉)するため、遺伝的には同じ形質を持ち、少ない労力でたくさんの子孫を作るのに役立ちます。このようにして、一面スミレの花園が出来ていきます。

春の華々しさは目に入るけれど、秋の大事な変化は初めて知りました。
それにしても、タチツボスミレを観察しつづけ、その生活史をさらに正確に把握していく方たちがいらっしゃるのですね。






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