こんなところでも咲くのかと驚いていたタチツボスミレですが、毎週同じところを観察していたら、その変化の過程を知ることができました。
「閉鎖花」のところで紹介した「白岩先生の植物教室」の写真にある、「種子を飛ばした後のスミレ」の姿を初めて見ました。
「熟すと、実の皮は三つに開き、折り畳む力で種子を飛ばします」とさらっと書かれていますが、これをどうやって観察したのだろうと、その方法もまた気になります。
種を飛ばした後の「実の皮」は、風力発電の羽のような形をしているのですが、よくよく目を凝らさないと気づかない大きさです。
この写真で知ったので、次に通る時には見てみようと気持ちを集中させたので見つけた感じです。
それでも、その写真にあるような種子がまだ残っている状態を見るには拡大鏡が必要なほどの小さなものでした。
ああ、虫眼鏡を持ってくるんだったと後悔したのでした。
そして翌週、あの風力発電の羽のような部分はどうなっているのだろうと、土手をずっと眺めて歩いたのですが、葉や茎さえもなくなっていました。
5月に入って伸び始めた苔に覆われて、タチツボスミレの存在は全く感じられない場所になっていたのです。
その苔の下にはきっと来年また咲くはずのタチツボスミレの存在があるはずなのに、何も無く見える。
ちょっと不思議な感覚に陥りました。
そうそう、あの子どもの頃から繰り返して来た禅問答のような。
「存在とは何か」
えへへ。不定期に記事が続きそうな、偉そうなことを思いついてしまいました。
「存在する」の記事のまとめ。
<2017年>
2. 地図とは何か
3. 人生の先輩とか後輩とか
4. 存在そのものが奇跡
5. オオワシのいる島
6. 無とは有である
7. 存在しないのに残る本籍
<2018年>
8. 存在感が失われていく
9. 生まれたこととその個人が生きてきたことの証明
10. 存在感に気づいた時には遅いこともある
11. 存在感さえなかったことにする
12. 主語が存在する
13. ノブレス・オブリージュ
14. 自分の存在を認めてもらいたい
15. 看護助手
<2019年>
16. 会話に「私」が入り始めた
17. 他人の存在を感じていないかのような
18. 完璧な地図はないけれど
19. 引っ越す
20. 視線ひとつで生かすことも殺すこともできる
<2020年>
21. 身元保証人
22.デッドストック
23. 就業者数と潜在者数
<2021年>
24. 緊急時の「身元保証人」や「家族の同意」が変化
25. 遺(のこ)ったり、壊されたり
<2022年>
26. 迷うとか戸惑うとか
27. 存在を証明するとお金になる?
28. 存在を証明するためのシステムに無力感
29. 印鑑証明と本籍
30. 顔写真は必要か?
<2023年>
31. 名前の漢字
32. 名前と住所で存在を確認する手段がない
33. 「顔写真の不備」と健康保険証
<2024年>
34. 大崎から多摩川までの舌状台地
35. 自分の存在の証明が主体的でなくなった
36. S字カーブの先の下末吉台地