通勤の道すがら、3種類の紫陽花が植えられた美しい庭があります。
また線路脇の土手にも、鉄道会社の方々が丁寧に手入れをしてくださっている紫陽花が見頃になっています。
沿線の紫陽花は、この私鉄を使うようになった30年ほどの間、毎年楽しみにしています。
30年ぐらい、連続してその変化を無意識のうちに見ていて、ある年に初めて気づくことがあります。
恥ずかしながら、紫陽花の葉が硬く芽吹き始めるのが立春の頃だということも、ここ数年で気づいたことです。
たぶん、4月から5月頃に新緑の葉が目立ち始めた頃からようやく紫陽花のことを意識するようになり、花が咲く頃にはかなり意識して見ていて、そして枯れ始めてドライフラワーのようになった頃にはもう紫陽花のことは意識に登らなかったのだと思います。
今年は、立春の前から紫陽花の葉がどう変化するのか楽しみにして見ていました。
毎日、毎日、葉が大きくなり、緑の色が濃くなるのを意識してみていたはずでした。
ところが 1ヶ月ほど前から、「こんなことが紫陽花に起こるのだろうか」と思う変化が目に入るようになりました。
せっかくつやつやと緑色に輝いた大きな葉っぱが、無惨にも穴だらけになっていたのです。
直径数ミリほどの穴が、葉っぱのあちこちに開いています。
まるでレースのようです。
「紫陽花、葉、レース状」で検索したら、簡単に答えが見つかりました。
農文協の会員制データーベース「ルーラル電子図書館」の「アジサイの病気」を見ると、アジサイハバチという害虫によるもののようです。
気になり出すと、あちこちにレース状の葉っぱになったアジサイが目につくようになりました。
どうやら大食いらしく、ほぼ葉っぱが完食されてしまったアジサイもあります。
不思議なのが、その齧られた部分が茶色く変色するわけではなく、緑色のままであることです。
そして、隣りの紫陽花の葉は無惨な状態になっているのに、隣りの木は無傷というものもありました。
それにしても、30年ぐらいみていたつもりなのに、私はなぜこのレース状の葉があまり目に入らなかったのでしょうか。
もしかしたら、「紫陽花とはこういうもの」という美しい写真のようなイメージが強くあって、目の前の事実(虫食い)を見なかったことにしたかったのでしょうか。
まあ、やっぱりこの虫の存在を知った今でも、葉をひっくり返して「葉裏に灰白色をしたイモムシ型の幼虫」を確認したいとは思わないのですが。
最近、こうした「長年見ていたはずなのに気づかなかったこと」があまりにも多くて、冷や汗が出てくる毎日です。
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