数字のあれこれ 23 <測量の年表、覚え書き>

「地図と測量の科学館」には、三大文明の測量術から始まる「測量の通史」という大きな年表がありました。


紀元前6200年ごろの「小アジアのチャタル・ヒュイク集落とハサン・ダウ火山図」や紀元前1300年ごろの「エジプトのヌピア金山の地図」には、日本史の始まるはるか昔にすでに地図を作るという概念があった地域があることに、ちょとめまいがしました。


また、紀元3600年ごろにはすでに「シュメール文化に足算、引算、掛算、割算、分数の発生」が起こり、紀元2300年ごろ「バビロニア人、角度の60進法発明」紀元前2000年ごろ「インダス文明メソポタミア文明に十進法ひろまる」という記述は、高校生あたりで習ったのだと思いますが、当時とは全く違う感慨深さを感じました。


旧約聖書を読んでいるとレビ記や民数記あたりで眠くなると書きましたが、もう少しドラマチックな内容の「出エジプト記」の後半あたりから、実はすでに眠気に襲われそうになります。


というのも、幕屋と呼ばれる移動式の神殿についての箇所が、ただただ数字を並べたような記述が続いているからです。
たとえば、こんな感じ。

 1枚の幕は長さ28アンマ、幅4アンマで、全ての幕を同じ長さにした。

 次に、幕屋の壁板をアカシヤ材で縦方向に使って作った。1枚の壁板は縦10アンマ、横1.5アンマ、それぞれの壁板には二つの柄を作って隣りの壁板とつなぎ合わせた。

1アンマというのは約44cmのようですが、紀元前8〜9世紀に長さを数字で表す文化ができていたことに、眠気の中でも驚きを持って読む箇所です。
日本なら縄文時代ですからね。


<年表の覚え書き>


壮大な年表を前に、時代を行きつ戻りつ考えていると、あっという間に時間が過ぎていきそうでした。
知らない専門用語ばかりで、大好きな地図がこんなに奥深いものであることにも驚きです。


この年表が欲しい、家に帰ってじっくり読みたいと思ったのですが、残念ながらこの年表をまとめたような本は無いようです。
そこで、ちょっと気になった箇所を今後の勉強のための覚え書きとして残しておきます。


日本の測量の開始は、「大化の改新の地積測量」からのようです。
そして江戸時代になると、「規矩術の発達」として、以下のようなことが書かれていました。

1648年 樋口権右衛門 規矩術を創始、オランダ人カスパルから測量法を学ぶ

1653〜54年 玉川兄弟の水準測量 (玉川上水建設に提灯を用いて水準測量)

ああ、なるほど。玉川上水についての本を読んでいた時に知った提灯を用いる測量方法が、この時代だったのですね。


1800〜1816年 伊能忠敬の全国測量
象限儀、方位盤、間縄、量程車などを使用し、導線法(多角測量)に交会法、天文測量を加えた測量方法によって正確な位置を測定1象限=9.96km;現在との誤差ー0.23%

1860年ころ 日本の測量器具整備される
1872年 日本初の三角測量
1891年 東京三宅坂参謀本部内に水準原点をおく


20世紀に入る頃から世界では、「物理測地学の発展と写真測量術の開発」の時代に入り、「写真測量時代の幕開け」となったようです。
私が小学生になった1960年代後半には、かなり正確な地図をみていたような記憶があったのですが、この箇所を見て少しびっくりしました。

1959年 日本、メートル法の完全実施
1960年 地理調査所、国土地理院と改称
1964年 国土地理院人工衛星観測開始。第二次測量長期計画


さらに20世紀後半には「地球を宇宙から測る時代」になったようです。

1966年 アメリカ、NGPS計画提唱(人工衛星による三角測量で全地球直接測量計画)
1973年 衛星による精密測量の開始、GPS開始

なるほど、あることろにはあるという理由の背景と歴史が少しわかりました。






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