運動のあれこれ 6 <動かないハシビロコウ>

じっとしていても、「やるときはやるんだからね」といわんばかりの俊敏性を見せるワニの筋肉はどうなっているのか不思議に感じたことを、「動かない動物」で書きました。


人間にとっては、「筋力低下」は加齢に伴う現実と不安の大きな部分かもしれません。
加齢だけでなく、どの世代も安静臥床が必要な状況になると、筋力低下に直面することがあることでしょう。
たとえば、産科では切迫早産で1ヶ月とか2ヶ月もベッド上安静が必要になる方がいらっしゃいますが、安静が解除になっていざ動こうとしても、階段の上り下りができなくなることもあります。


父が認知症の初期の頃に、一日に何度も散歩(徘徊)に出かけていたのも、足腰が弱まっていくことへの不安もあったのではないかと思っています。
あるいは、中高年層のウオーキングブームやハイキングブームも、筋力低下への強い不安の裏返しなのかもしれません。


ただ、80歳目前で半身麻痺になった母はその後歩けるようになりましたし、80歳で始めた水泳で100歳で1500m泳げるようになったという話を聞くと、「加齢で筋力が低下する」だけでもないのかもしれませんね。



あるいは、80〜90代ぐらいの高齢者の方を見ていると、「どこに筋肉があるのだろう」と思う様な体型になっているのですが、十分しっかりと歩いて日常生活をこなしていらっしゃる方もいます。


あまり「運動しなければ寝たきりになる」と、強迫的な不安に怯える必要もないのかもしれません。


ハシビロコウの筋肉はどうなっているのだろう>



あ、今日は人間の高齢者についてではなく、ハシビロコウについてでした。


ハシビロコウだけでなく鳥は、あの細い2本の足で大きな頭と体を支えているのは、どんな体の仕組みなのだろうと不思議です。
人間でいえば骨だけにしかみえない足ですが、あのパーツを動かす筋肉はどうなっているのでしょう。


そして、じっとしていてもすぐに飛び立ったり、中には陸上から水中へ、水中から空中へと自由に移動できるのは、どのような体の動きなのだろう、とまたまた小学生のような疑問がいっぱいです。


ハシビロコウもしばらくじっとして動かないのに、人間のような準備体操がなくても俊敏な動きができるようです。
人間と何が違うのだろう。


ハシビロコウについて書かれた本はほとんどなくて、手元にあるのは「ハシビロコウ SHOEBILL」(千葉市動物公園、2015年、東京書籍)だけです。
その中に、「ハシビロコウの食事の仕方は?」という質問があって、こんなことが書かれていました。

大好物のハイギョの場合、空気を吸いに浮かび上がる隙を見て、素早くクチバシでとらえて丸呑みにします。狩りは一瞬ですが、消化には数時間もかかり、しかも消化するために、1日に消費するエネルギーの30%を費やします

じっとしている理由は、そこにもあるのでしょうか。


ハシビロコウの筋肉は、どうやって維持されているのだろう。
不思議ですね。




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