イメージのあれこれ 8 <研修会に出ると勉強した気分になる>

「おひなまき」についてまーママさんからコメントいただき、その返信にこんなことを書きました。

最近も助産師向けの代替療法の研修会のお知らせが勤務先に貼ってあって、脱力しました。そういうものを勧めてくる看護大学もけっこうあるのです。


私が看護職になった1980年代初頭は、研修会どころか看護関係の出版物さえ少ない時代でした。
その限られた出版物も、通信販売もまだ一般的ではないので、都内の大きな書店に行って申し込み、2週間ぐらい待たなければ手に入りませんでした。


90年代頃から、医療関係の出版社が主催する研修会が広がり始めたと記憶しています。
看護だけでなく、接遇といったものまで研修会が開かれるようになりました。
実践上の悩みはたくさんありますし、その答えがあれば喉から手が出るほど欲しいので、いろいろな意味で看護職は勉強熱心ですから、夜勤明けでも自分の休日を使っても、そして何万という参加費や交通費を使ってもこぞって参加していました。


90年代終わりごろになると、「研修会に参加したことを勤務先に報告する」制度がジワジワと広がりました。「この研修会は何ポイントです」とあって、年間で必要なポイント数に達しないと不勉強なスタッフと見なされ始めました。


たまに集中して講義を聴くのは、頭の中が整理されておもしろいものですが、私自身はどちらかというとそういう研修会よりも、自分で疑問に思ったことについて本を探して勉強することが性に合っていましたから、そういうポイント制で勉強熱心度を決めつけられることは多いに不満でした。


それと、研修の内容を見てもあまり興味を持てないことがほとんどでした。
対象が新人・中堅向けのものが多く、それ以上の課題に行き詰まっている私には意味がなさそうな内容でした。


当時、私が知りたかったのは何だったのだろうと思い返してみると、症例報告だったのだと、後になって明確になりました。
ですから、当時も書店に行くと、まずは医師向けの周産期医学書のコーナーを覗いていました。
医師向けの雑誌は、毎月テーマに沿って必ず症例報告が掲載されています。それを読むことで、「妊娠出産にはこんなことが起こるのか」「それに遭遇した時にはどんな看護が求められているか」と自分の中で考えることが、私の勉強方法でした。


看護関係の研修会というのは、「私はこんな良い方法を知っています」というスタンスがほとんどでした。
そう、個人的体験談から拙速に理論化した内容とでもいうのでしょうか。


さらに資格商売からバイブル商法へと広がって行き、事故が起きてもうやむやになっていく。


助産師・看護職向けの研修会は本当に有効なのか弊害は何か、あるいは研修ビジネスそのものを、そろそろ誰が研究して欲しいものです。




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