水のあれこれ 69 <川の上に川、川の下に川>

丸子川沿いに歩こうと地図を見ていた時に、谷沢川と交差している箇所があることに気づきました。


谷沢川を等々力渓谷方面に向かって歩いた時にその場所を通ったはずなのですが、残念なことに記憶がありません。
他のことに気を取られて歩いていたのでしょうか。


川と川が交差している。
あの堅川と大横川小名木川と横十間川が交差するような風景でしょうか。
縦と横という、全く違う方向から流れてくる水が混ざり合う場所はどうなっているのだろう。
「川の上に川」がある風景、もう一度、この目でどうなっているのか確認したいと思って出かけました。


その場所に近づくと、水の流れる音が一段と大きくなっています。
囲いのなかを覗き込むと、丸子川が谷沢川の下を通るようにコンクリートの水路ができていました。
そして交差すると、何ごともなかったかのように水は穏やかに丸子川を流れて行きます。
丸子川周辺のその場所は高低差がないのに、勢い良く谷沢川の下へと誘導された水があふれること無く、もとの高さまで戻って流れていました。
そばに建設局か何かの建物があったので、もしかしたらポンプなどで流れを調節しているのかもしれないと思い、家に帰ってから「水系と3D イラストでたどる東京地形散歩」を読むとこう書かれていました。

丸子川はもとの六郷用水の一部で、河床が高い。それゆえ、平成初期まで谷沢川をまたぐように水路があった。だが、現在では交差部分は丸子川の方が谷沢川の下を下水管で対岸に渡され、ポンプの力を借りてふたたび流れを取り戻している。


それが、六郷用水の説明にある「谷沢川(六郷用水と立体交差)」です。


また、実際に歩いて知ったのですが、途中、丸子川の表示に「この下には下水道管が埋設されています」とありました。
帰宅してからWikipediaの六郷用水の説明を読み、「廃止されたのは1945年である。宅地化が進み、大半は1970年代までに埋め立てられたか雨水用の下水道となった」と書かれている部分が、この意味だとつながりました。


「川の下に川」があり、それがまた川と立体交差している。
そういう工事が行われる前は、このあたりは二つの川の水がどのように混ざり合っていたのでしょうか。
少しの雨でも水が溢れたり、多摩川が氾濫すれば浸水していたのでしょうか。


水を制御し、水を利用して生活するのは本当に大変なことだと、今まで気に留めていなかったような場所から感じるようになりました。




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