10年ひとむかし 26 <ぶーふーうーの家>

先日の丸子川を散歩したあと、せっかくここまで来たので30年ほど前に住んでいたところへ足を伸ばしてみようと思い立ちました。
すでに辺りは暗くなっていたのですが、2年半ほど住んでいた場所で比較的大きな道路が近くを通っていたことと、教会と病院がランドマークになってたどりつくだろうと思いました。


ところが、住宅街というのは夜歩くと、どこも似て見えるのですね。
すっかり道に迷い、iPhoneの地図とGPSに助けられたのでした。


そこには、私が初めて賃貸住宅を借りて住んだ家があります。
勤務先に近い場所で夜勤の通勤に安全で便利であること、女性が1人で住むのに安心な場所と建物であることが条件でした。
こちらの記事にも書いたように、1980年代後半は女性が一人暮らしのために部屋を借りることも警戒される雰囲気がありましたが、その地域に昔からある病院に勤務ということで、信頼してもらえたようです。


あれから30年もたってそうとう外見も古びているのだろうなと想像していましたが、周囲の住宅が年数相当になっているのに比べて、当時とほとんど変わらない外観でした。
タイル張りのコンクリート建てのマンションで、最新のユニットバスがあり、いつでも気軽にシャワーを使えることも選択した理由の一つでした。
ただ、まだ当時はこちらの記事に書いたように、家庭用のエアコンはそれほど普及していなくてこのマンションにも取り付けられていませんでしたから、真夏は扇風機だけで寝苦しいものでした。


もうひとつ、この部屋で気に入ったのが、隣の住宅の庭にある大きな木が私の部屋のすぐそばにせり出して来ていて、窓の外にいつも緑が見えることでした。
残念ながらその木は切り倒されていて、隣の家はそのまま空き家になっているようでした。


あれから数カ所、集合住宅を転居しましたが、1カ所を除き、しっかりした物件を選択できたと思っています。
その1カ所は外見はしっかりしたコンクリート製でしたが、壁が薄くて隣りの家の電話の音などが聞こえてきました。


偶然ですが、それ以外の集合住宅は1階部分が店舗であったり不動産屋さんでした。
その店舗も、化学製品を扱うための貯蔵施設があったものもありました。
最初は危険物を取り扱うので大丈夫かなと不安でしたが、かえってしっかりした作りになっているのかもしれません。(個人的体験談)


家を選ぶ時には、いつも三匹の子豚の童話が頭をよぎっていました。
Wikipediaの説明を改めて読むと、この話の教訓はどの材質で家を建てるかと言う話ではないのですね。


でも、やはり強固な物で雨風や火災に耐えられる建物を作り、そしてしっかり管理をすれば、30年たっても古びた感じにならないのかもしれません。


私が住んでいた部屋に灯りがともっていました。
そこで生活をしていた頃のことが、つい昨日のことのように思い出されたのでした。




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