記録のあれこれ 10 <気に入らない数字は記録したくない>

測定機器はある程度正確に数字を示しても、「いや、それはきっと測り間違い」と、その測定値をなかったしたくなることは誰でも経験があるかもしれませんね。


代表的なのが、体重かもしれません。
特に女性には50kgの壁があるかもしれませんし、少しでも少なくしたいと思うのでしょう。
体重だけでなく体脂肪率まで測定できるような体重計が初めて発売されたのは、1992年だったようです。


私が初めて体脂肪計のついた体重計を購入したのは、2000年代半ばだったような記憶があります。
ずっと泳ぎ続けていたので、体重は減らなくてもそれなりに皮下脂肪の量は適正に維持できていた自負があったのですが、初めて体脂肪率を測定した時はショックでした。
体脂肪率が30%近くだったのです。
全身の皮膚をつまんでも、そこまで皮下脂肪はついていないはずなのですが。
それ以来、体重だけ測定して、体脂肪率という測定値を完全に無視するようになりました。


でも、あらためてタニタの「体脂肪率判定表」を見ると、かなり男女差と年齢差があり、私の場合標準内ということになります。
これは測定誤差というよりも、明らかに私の知識不足でした。


<都合の悪い数値は無視したくなる>


もうひとつ、「都合の悪い数値は無視したくなる」ものに、血圧があります。
もともと白衣高血圧症の傾向があったことと、家系的にも血圧に注意が必要そうだったので、30代の頃から自宅でも血圧を測定するようにしていました。


90年代はまだ血圧計というのは医療機関で使用する医療機器でしたから、最近のように誰でも購入できるわけではありませんでした。
しかも、電動の自動血圧計ではなく、手でマンシェットに空気を送り、聴診器でコロトコフ音を聴いて測定するものでした。
アネロイド式の血圧計を職場を通して購入して、自宅で自分でそのコロトコフ音を聴いて測っていました。


その方法だと、測定誤差の原因になることがいくつかあります。
本来なら安静にして測定する血圧ですが、自分でマンシェットに空気を入れる作業をするわけですから、その動作で血圧が正確に測定されていない(高くなる)可能性があります。
また、自分の耳で聴診するので、つい「高めの血圧測定値にしたくない」という気持ちが出てしまいます。


やや高めに測定された時には、うまく測定されていなかったと思いたくてその測定値を無視したのでした。
当時はノートに血圧値を筆記で記録していたので、たぶん、高めの数値は記録しなかった可能性もありますね。


<自動血圧計を購入した>


7〜8年ほど前に、両親の健康問題と今度どこで暮らすのかなどの問題が一気に起こった時に、本当に血圧があがりました。
さすがに内科受診し、軽度の降圧剤を飲みながら生活も徹底的に見直す必要が出て来た時に、家庭用の自動血圧計を購入しました。
測定のしやすさと、記録が機械内に残ることが購入の動機でした。


幸いに降圧剤は飲み続けなくてよいぐらいに安定したのですが、何年か地道に測定するうちに気づいたのが、10月頃の夏日から冬かと思うような気温の急降下がある時期に、私は一時的に血圧があがりやすいようです。
夏の間は血圧測定をさぼっていても、この時期になると「なんとなく血圧があがってきた」感じがわかるのでまたあわてて血圧を測り始めます。


そして「ああ、やっぱり(高い)」という時の記録は残さずに、安定してくると記録を残したくなります。


次に血圧計を買い替える時には、全ての測定値を強制的に記録するタイプがあればそちらにしようと思います。
測定値を恣意的に記録に残すかどうか決められるタイプでは、ついつい見たくない数値に目をつぶってしまうのですね。


医療従事者でありながら、そんな気持ちになる自分と葛藤しています。
ホント、正しく測定し、ありのままに正確に記録するというのは難しいですね。



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