ケアとは何か 24 <買物ひとつとっても個別性がある>

何か物を買うにも三度悩む私ですが、ただ物を増やしたくないだけでなく、言葉を替えれば物に対するこだわりがあるとも言えます。


あれこれと吟味し、本当にこれで良いかと物を買うのにもこだわり悩むのは、それまでの失敗に対する再発防止あたりかもしれません。


服も衝動買いをすると、たいがいは他の服とうまく合わせられなくて出番がなかったり、着てみたらサイズやデザインあるいは素材がしっくりこなくてタンスの肥やしになることもしばしばあります。
それを繰り返しているうちに、最近では部屋着のようなものでさえ、着ていて落ち着く服の範囲がかなりせばまったと思います。
とても人に「こういう雰囲気の服を買って来て」、とは頼めないほど。


それ以外では、ボデイソープに対しては比較的どの商品にも順応しているのですが、シャンプーとヘアコンディショナーだけはどうしてもこれでなければというものがあります。
通販でも手に入りにくいので、電車に乗って直売店に買いに行くほどのこだわりです。
洗濯用の洗剤や柔軟剤も最近は匂いの種類が多すぎて、店頭で選んだものの、実際に使ってみるとどうしてもダメで、かなり選択の幅がせまくなりました。



「買物とは、世の中とつながる大切な営み」という情緒的で漠然としたものでは表現しきれないほど、生活に必要な物、自分の好みにあったものを探し獲得するという即物的で現実的な行動です。
そして、ひとりひとり個別性がある複雑な行動とも言えるでしょうか。



<こんな買物サポートがあったら>


自分に合った商品を自分で選択して購入する行動は、それを失った時に相当不自由さを感じるだけでなく、能力を失ったという思いになるのではないかと母を見て感じることが多々あります。
「○○が欲しいから次回買って来て」と頼まれると、母が好みそうなものをあちこちのお店に寄って探します。
きっと気に入ってくれるだろうと持って行くと、なんだかあまり使われていないこともしばしば。
使い心地が微妙に合わないとか、服ならやはり着た感じがしっくりこないのでしょう。
「この間買ったのはどうしたの?(何軒もお店をまわって探したのに・・・)」という批判的な言葉を飲み込んで、その品物の行方は尋ねないことにしています。


最近は、在宅支援でも高齢者に対する買物サービスがいろいろあるようです。
介護保険の対象外で比較的自立している高齢者の方への、買物代行サービスとか買物同行サービスなどもあるようです。


ただそのサービスで検索していたら、ある自治体の説明では「施設や病院に入所・入院している方は除きます」と書かれていました。
むしろ、入院した直後とか施設へ入所してからの買物はニーズが高いのに、当事者が言葉にできないでいる部分ではないかと思います。


あと10年とか20年ぐらいしたら、病院や施設にいてもiPadのような端末が一人一人に渡されて、パジャマとか下着とか自分にあったものをポチッとして配達されるなんてシステムになったらいいなと妄想しています。
あ、使いすぎないように限度額設定は必要ですね。


たかが買物されど買物、それまでの人生が凝縮された行動ですからね。




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