観察する 54   <日本でも赤ちゃんや子どもが泣かない状況もある>

上野動物園のシャンシャンに会いに行きました。


身長測定とか日常の様子が頻繁に動画になっていたので、パンダの生活史の一端を知ることができたことは、ただ「可愛い〜!!」という熱狂的な感情ではないもっと違った関心が高まりました。


シャンシャンが一般公開されるようになってからも、整理券はあっという間になくなっているようでしたので、朝早くから並ぶのも大変そうと二の足を踏んでいました。
シャンシャンの1歳の誕生日からは並んだ順に見学の方法に変更になりましたが、2〜3時間待ちは覚悟しなければならない人気ぶりでした。
ということで、もっと大きくなって人気が落ち着いた頃にならないとパンダ舎には近づけないだろうと諦めていました。


いつも通りハシビロコウに会って、不忍池の蓮をみていたら、雨が降り出しました。
きっとこの雨ならみんなパンダは諦めて帰るのではないかと、ちょっと期待をして行ってみました。
なんと、それでも皆、傘をさしたり雨合羽を着て並んでいます。
120分待ちの表示でした。


でも列は結構動いているので、120分は待たないかもしれないと予測して、ダメ元で並んでみました。


<静かな行列>


あ、今日のタイトルとパンダに何の関係があるかわかりにくいですね。


見学待ちの列は、いろいろな年代や国の人たちがいましたが、平日でも結構、子ども連れの家族が多かったことが印象的でした。
「赤ちゃん」とか「子ども」と言ってもどの段階か幅がかなりあるのですが、生後数ヶ月ぐらいの赤ちゃんもいましたし、1〜2歳頃の幼児や、学校を休んできたのか小学生の姿も結構見かけました。


パンダ舎に向かってつづら折りに列を作るようになっているのですが、全体の4分の1か3分の1ぐらいが子どもづれのように見えました。


歩いていると蒸し暑いのですが、行列の中で立って待っていると肌寒く感じます。
足元も雨で濡れてきますし、大人でも不快なのですが、その長い列はびっくりするほど静かなのです。
粛々と前に一歩ずつ進んでいて、大人の大きな声の会話とか笑い声もないし、子どもが興奮したりはしゃぐ声もなければ、ぐずったり泣き叫んだりする声も全くないのです。


雨の中で喋る元気もないという雰囲気でもなくて、なんとなく「もう少しでパンダを見ることができる」という静かな興奮が伝わってくる、不思議な行列でした。


ようやくパンダ舎の中へ。
一歩入った途端、あの静かだった群衆が興奮の渦で賑やかになりました。
120分待って、わずか1〜2分で押し流されるように見学は終わりました。


あの静かな行列が印象に残って、後日、もう一度行ってみました。
今度は晴天で炎天下でしたが、やはり、子どもから大人まで静かに粛々と列を作っていました。


静かな大人の興奮に圧倒されて、子どもたちもその行動を真似たのかもしれないと感じたのですが、事実は如何に。



シンシンの後を追って、同じような行動をするようになっていくシャンシャンの動画を見て、やはり「親の背を見て育つ」という言葉をしょっちゅう思い出していたのですが、ヒトも「大人(親)の背を観察されている」ことがたくさんあるのかもしれませんね。




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