水は人間の体に不可欠ですが、水が足りなくてもあるいは多すぎても生活への支障が大きいと、昨今のニュースを見て改めて思います。
日常の中では、「水が多くて困る」場面は湿度が高いというあたりでしょうか。
ジメジメして不快指数も上がりますし、洗濯物も乾かずに大変。
でも最近はエアコンの除湿のおかげで、ほとんど気にならないレベルになりました。
ただ、雨の日の満員の通勤電車は除湿が追いつかないのか、車内の空気が飽和状態になって窓の内側に水滴がたまっているのを見ると、不快指数が跳ね上がりそうです。
この状態を「飽和蒸気」というのですね。
水分が多くて困ったと感じることで思い出すのは、この雨の日の電車くらいなのは、本当にありがたいことです。
もうひとつ、水が多すぎるわけではないのですが、水が存在することで物が腐敗したり、カビが生えたりダニが増えたり、ヒトの生活にはいろいろと厄介なことが起こりますね。
最近、スーパーで見つけた乾燥ネギが気に入っています。
一回分ごと小分けのパックになっていて、保存期間も長いので、生のネギを購入して使いきれずに腐らせることがなくなりました。風味的には物足りないかも知れませんが、むしろにんにくの匂いが苦手になったように生のネギの匂いもちょっと苦手になってきたので、乾燥したものでちょうど良さそうです。
フリーズドライ製品は、インスタントラーメンが出始めた頃から珍しいものではなくなったのですが、ネギ単独の乾燥品が販売されるようになるとは想像していませんでした。
インスタントラーメンや乾燥したスープ、あるいは粉末のジュースなどが重宝していたのは、年中、食べたい時にそれを食べられることが叶うようになったからで、現在のようにいつでもどこでも新鮮な生ネギや果物が手に入らなかったこともあったことでしょう。
災害用の備蓄食品も以前は乾パンが主流だったのに、最近ではペットボトルの水を入れるだけでご飯を食べれるようになったり、すごい技術ですね。
野菜などの食品から水分だけを抜いて保存性を高め、水を加えると原型に近いものにもどる。
そんな夢のような話が実現したのもたかだか半世紀なのだと、記憶を行きつ戻りつしています。
<乾燥した製品と元に戻すための水を一体にする>
そう考えると、当たり前のように医療現場で薬品を水で調剤していることも、すごいことに思えてきます。
薬効成分のある液体を粉末化することで保存性が良くなり、使う時に水分(蒸留水や生理食塩水、あるいは糖水)を混ぜると、注射が可能になり薬効が発揮できるのですからまるで魔法の世界です。
さらに、次世代の乳児用ミルクで紹介したプレミクストバッグは、滅菌のまま薬品と水分を混ぜることができる優れものです。
以前のように、注射器で蒸留水などを吸ってバイアルに入れる過程で起こる雑菌の混入が全くないわけです。
ところが、バッグ内は薬品と水それぞれが滅菌されているので、混ぜ合わせても腐敗するような菌の存在はないのですが、あえて使用する直前にプレミクストバッグの中隔を開通させて混ぜる必要があるのですね。
「水の存在」というのは腐敗以外にも、劣化させる働き(専門用語ではなんというのでしょうか)があるということなのだと思います。
こうしたプレミクストバッグの抗生物質などを使用する場合も基本的には使う直前に調剤していますが、調剤しなければ製品自体の使用期限は2〜3年とかなり長期間です。
そう考えると、従来のロングライフ製品の液状乳児用ミルクよりも、こうした「粉ミルクと水を混ぜない状態」にしたプレミクストバッグにすれば保存期間をさらに長くできる可能性があるのではないでしょうか。
そうすれば、日常の液状乳児用ミルクは従来の製品で、災害の備蓄用はプレミクストバッグに使い捨ての哺乳用乳首をつけたものにすれば使いやすいかもしれませんね。
さらに、突然の変化でその乳首を受け付けなくなった赤ちゃんに飲んでもらうために、ハサミがなくても本体の一部を手で切れるようにして、直接ゆっくりと飲ませるのに対応する製品になったら紙コップも必要なくなることでしょう。
災害時のフェーズ0(24時間以内)からフェーズ1(72時間以内)ぐらいまでは、このプレミクストバッグが自治体の備蓄品のスタンダードになればいいのになと思います。
乳児だけでなく子供や大人も飲めるので、多少多めに備蓄しても水分と栄養補給になることでしょう。
ということで、抗生物質のプレミクストバッグの中隔をプシュっと開通させるたびに、水が存在することで起こる腐敗や劣化から食品や医薬品を守る技術と、さらに水を混ぜて元の状態に復活させる技術のすごさに感動しています。