災害時の乳児の食糧の短期・中期・長期視点

九州北部記録的豪雨から2週間以上が過ぎて、家の片付けをする方々、捜索や復旧のために炎天下の中作業をされている方々の姿が連日報道されています。


破壊された水道管が復旧して水が出た様子に、「もっと時間がかかると思っていた」と答えた方の表情は、ただただ安堵だったのだろうと思われるほど無表情でした。
「今何が必要ですか?」と質問された別の男性は、「休息ですね。疲れました」とだけおっしゃっていました。
これが、被災後1週間から1ヶ月ごろまでの亜急性期の現状だと思いながら、見ていました。


乳児のいるご家族はどれくらいいらっしゃるのだろう。
どうやって、母乳であれミルクであれ、乳児の大事な食糧を確保し、安全に飲ませるために苦労をされていらっしゃるのだろう。
「今必要なものは何ですか?」とも問われることも、被災の経験が次に起こる災害時の長期的な乳児への支援計画のために活かされることもないのでしょうか?


というのも、「ライフライン情報」の中に、この情報を上げている自治体を見つけて、ちょっとがっかりしたのでした。

専門医でつくる「日本新生児成育医学会」では
ほ乳瓶が使えない時のミルクの飲ませ方や、
紙おむつが足りなくなった時の代用おむつの作り方について、ホームページで公開。


ホームページによると、
ほ乳瓶がない場合には、紙コップを使い、
赤ちゃんが目覚めている時に縦に抱っこして、
紙コップを赤ちゃんの下唇にあてて、
ゆっくりと少しずつ飲ませる。

紙コップで調乳し飲ませることは、本当に被災地での生活に役にたつのでしょうか?


大人だって、今やペットボトルに入った水や飲み物、あるいはロングライフの飲料や食糧に多大な恩恵を受けているのに、なぜ、乳児にはその恩恵がないのでしょうか。
しかも、水害が起こるのはもっとも食中毒の発生しやすい高温多湿の時期です。
そのままパックに使い捨て乳首をつけて飲ませる事ができれば、どれだけ乳児にも飲みやすく、家族の調乳のための負担が軽減されることでしょうか。
残した分は、大人がその都度飲んでしまえば大人の栄養補給にもなることでしょう。
紙コップから漏れたミルクで服を汚すこともないですし。


乳児が答えられるのであれば、「今必要なものは何ですか」にどう答えるでしょうか。
そして乳児を世話をしながら、後かたづけや生活再建に追われている家族にすれば、「少しでも楽な方法が欲しい」ことでしょう。


「母乳代用品、哺乳びん、人工乳首の寄付はどんなに善意であっても誤った援助です」という強固な信念が、こうして生き延びていくのかと暗澹たる気持ちになりました。
災害をプロパガンダの機会にしている情報には要注意ということを、毎回言い続ける必要がありそうです。




やはり必要な答えは液状乳児用ミルクだと思いますし、救援物資として当然準備されるのにはあと何年必要なのかという見通しも知りたいところです。



あ、液状にこだわらなくても、粉ミルクと滅菌水を同じ容器内に混ざらないように入れて、使用する直前にブシュっと混ぜ合わせる次世代型のミルクでもいいですね。


清潔で正確な濃度の食糧を最も必要としている乳児の災害救援物資なのに、なぜこんなに変化に時間がかかるのか不思議ですね。



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