液状乳児用ミルク関連のまとめ

大人や離乳を完了した幼児の食糧であれば、なんとか災害時でも工夫できると思いますが、乳児の食事というのは、母乳であれミルクであれ、適切な濃度と量が必要であり、より清潔な状態で準備される必要があります。


何かが欠けると一気に生命への危険が高くなると言う意味で、離乳前の乳児の食事というのは本当に特殊であり、繊細です。


母乳が万能かのようなファンタジーが広がってしまったこの30年ですが、その現実的でないプロパガンダが、世界中で、戦争や災害あるいは貧困という非常事態の状況にある乳児の栄養状態を悪化させているのではないかと心配です。


いえ、きっと多くのあるいはほとんどの家族や医療関係者が、「必要であればミルクを足して元気に育てる」と現実的な対応を選択しているのだと思います。
そして、とりわけ災害時には、便利な乳児用ミルクや使い捨て哺乳瓶があればどんなに助かるかと思うことでしょう。


ところが、どこからともなく「母乳だけで育てられたはずなのに」という善意の声が聞こえ、災害時でさえ「災害時には母乳を」、「(哺乳瓶ではなく)紙コップで授乳を」というメッセージが繰り返されています。
いったん広がってしまったメッセージは、その意味が省みられることもなく広がっていきます。


ようやく最近、液状乳児用ミルクの導入が実現の方向に向き始めましたが、「男性の育児参加のため」といったあさっての方向になるのはなぜなのでしょうか。



乳児の声は、大人側の「こうしたい」にかき消されているのかもしれませんね。


すでに液状乳児用ミルクと人工乳首はいろいろな国で使われてきたようです。
ところが、非常時にさえそれを使うことを躊躇させてしまっている時代の雰囲気は、乳児にとっては受難の時代だと言えることでしょう。



液状乳児用ミルクについて書いた記事のまとめです。

液状乳児用ミルクの普及を望んでいます
災害時の液状乳児用ミルクについて考えたこと
完全母乳という言葉を問い直す 29 <災害時の完全母乳『戦略』>
完全母乳という言葉を問い直す 30 <災害時の母乳代用品の監視行動>
災害時の分娩施設での対応を考える 3 <災害時の『授乳支援』>
必要な答えは液状乳児用ミルクではないか
液状乳児用ミルクについての小まとめ
乳児用ミルクのあれこれ 1 <『衛生的な』調乳とは>
乳児用ミルクのあれこれ 3 <液状ミルクのメリットー滅菌されている>
乳児用ミルクのあれこれ 17 <UNICEFの母乳推進運動の矛盾、その2>
目から鱗 2 <液状乳児用ミルク>
乳児用ミルクのあれこれ 27 <Meekさんのコメントをご紹介します>
目から鱗 8 <次世代の乳児用ミルク>
気持ちの問題 35 <何だか気になるなあ>
なぜ『男性の暮らし方』になるのだろう?
災害時の乳児の食糧の短期・中期・長期視点
水のあれこれ 82 <水と腐敗や劣化>
乳児用ミルクのあれこれ 45 液状乳児用ミルク元年
事実とは何か 63 「小児科医」?
つじつまのあれこれ 16 液体ミルクが乳腺炎を増やす?
事実とは何か 64 ニュースに求めているのは「物語」ではない
乳児用ミルクのあれこれ 46 調乳ずみミルクの次は使い捨て乳首


あわせてこちらのまとめもどうぞ。
「完全母乳という言葉を問い直す」
「母乳育児という言葉を問い直す」
「乳児用ミルクのあれこれ」
「新生児の『吸う』ことや『哺乳瓶』に関する記事のまとめ」
「母乳のあれこれ」
「カンガルーケアを考える」