2年ほど前に多摩動物園でコアラをみました。
木にしがみついて微動だにせず、そして眠れることに、その筋肉はどうなっているのだろうと不思議でした。
その多摩動物園で赤ちゃんが生まれ、東京ズーネットに「8年ぶり! コアラ誕生」(2019/09/06)という記事があります。コアラの赤ちゃんの動画はその中で見ることができます。
「振戦だ」と思ったのは、一生懸命お母さんコアラにしがみついている時に足が不随意にぶるぶるとしている場面です。
コアラの場合も、これを振戦と呼ぶのかはわからないのですけれど。
ところでコアラも有袋類なので、生まれたばかりだととても小さな体でまだ毛もほとんど生えていない状態かと思います。
動画ではすっかりコアラっぽくなって袋の外で活動をしていますから、ヒトでいえば幼児期くらいの感じです。
コアラの「赤ちゃん」ってどの段階だろうと素朴な疑問が湧きました。
*「コアラの一生」*
Australian Koala Foundationの「コアラの一生」を読みました。
メスのコアラが妊娠してからわずか35日で赤ちゃんコアラ(ジョーイ)を出産します。生まれたばかりの赤ちゃんは体長約2cmで、体重は1グラム以下、目は見えず、耳も毛もなく、まるでピンクのジェリービーンのような形をしています。
赤ちゃんコアラはすでに発達している嗅覚と触覚、力強い前足とつめを使い 、生まれつき備わっている方向感覚を頼り、産道から母コアラのお腹にある袋に独力でたどり着きます。(中略)
生後6~7ヶ月の間、赤ちゃんコアラは母コアラのミルクだけ飲んで袋の中で生活します。その間にゆっくりと目や耳などが発達し毛も生えそろってきます。生後20週で目が開き、母コアラの袋の外をのぞき始めます。その後22〜30週で、母コアラの盲腸でつくられる柔らかい食べ物で、赤ちゃんコアラが 母コアラのミルクからユーカリの葉へ離乳する時期に重要な役割を果たします。(中略)
このヒトなら離乳期にあたる時期も「赤ちゃんコアラ」と表現されていますが、次に「こどもコアラ」という言葉に変化しています。
赤ちゃんコアラは定期的にパップを食べ育ちます。その後、成長するとともに袋から完全に現れて母親の腹部につかまって 食べ物を食べるようになります。最終的にはこどもコアラは母コアラの背中乗り(*原文のまま)ユーカリのはを食べるようになります。こどもコアラが生後1歳になるまでは母コアラのミルクを飲み続けます。
動画のコアラは今年2月に生まれたそうなので、ちょうど赤ちゃんコアラからこどもコアラに変わるくらいの時期でしょうか。
ヒトの新生児はものを掴んだりする筋力も動きも未熟なまま生まれてくるので、それで振戦が起きやすいのかなと想像しているのですが、2cmぐらいで生まれたコアラは袋の中を自由に行き来する筋力が備わっていることに驚きですね。
だとすると、動画の中の「赤ちゃんコアラか、こどもコアラか」の足のぶるぶるはなんで起きるのでしょうか。
ヒトの新生児の振戦とも違うのでしょうか。
「振戦」という一言から、また未知の世界を見たようです。
「観察する」まとめはこちら。