「渇水(水が足りない)」は日常生活や生命そのものに影響を与えるので、清潔で豊富な水が低廉に手に入る社会が実現した今も気になる言葉です。
反対に「排水」に関しては、水害の映像を見たり、排水溝が詰まったりしないとあまり切迫感を感じないものでした。
7月に50年に一度の水害に見舞われた倉敷市のことが気になって、情報を追っていました。
その中で、国土交通省のTweetが小田川の排水作業を行なっている様子を伝えていました。
小田川沿川の倉敷市真備町の宅地・生活道路の浸水は、7月11日(水)までに概ね解消。7月8日(日)から中国、関東、北陸、中部地方整備局のTEC-FORCE(緊急災害対策派遣隊)が24時間体制で排水を行いました。
排水作業の様子は7月8日から時々写真とともにTweetされていましたが、私にとっては水害直後のポンプ車による排水作業の様子を見るのは初めてでした。
水害のたびに、どのようにあの水を引かせるのだろう、どれくらいの人や時間がかかるのだろうと気になっていました。
あの広大な浸水地域の水を引かせるのに、3日間で作業を終えたことに驚きです。
そして、同時に決壊した堤防の修復工事を行い、国土交通省の7月15日のTweetでは「元に繋がった」と記録されていました。
その間に他の高速道路や一般道も着々と復旧して行きましたが、具体的にどうやって排水作業が行われたのだろうと関心が尽きません。
状況により、そして地盤や地形によって「排水作業」と言っても一言では語れない専門性があることでしょう。
「排水させる」
今年の夏に、一番気になっている言葉です。
<関門トンネルの排水>
そんな時に、ブラタモリの「#109 関門海峡・門司」の中で、トンネル内の湧水を排水させる話がありました。
海底に向かってV字型に掘られているトンネルですから、V字の底に湧水が溜まってしまうことになります。
散歩では心を震わせる湧水ですが、トンネルではありがたくない存在ですものね。
ブラタモリでは、先進導坑の両端を下げてそこに水が溜まるようにして、それを機械で排水させる方法がとられていると説明されていました。
いやあ、すごいですよね。
世界初の海底トンネルを、あのまだ驚異的に変化した時代である、大正末期から昭和にかけて建設したのですから驚きです。
その半世紀ほど前は、まだ電気もガスもなくてサムライの世界だったのですからね。
海底トンネルでの大きな事故は記憶にないのですが、関門トンネル(山陽本線)の「西日本水害による水没事故」を読むと、あわや大惨事になる浸水が起きていたことが書かれていました。
都内の地下鉄も川や海の下を通過する箇所がありますが、この一世紀ほどの排水の技術があってこそだったのだと、今まで気にもしないで乗っていたことを恥じたのでした。
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