水のあれこれ 187 澪

Wikipedia諫早湾干拓事業の「構想」に、以下のような一文があります。

 

干拓では排水を促すために、大勢の住民が集まって人力で「ミオ筋」と呼ばれる溝堀り作業 が行われていた。

 

ミオ筋について、どこかで読んだ記憶があると思い返したら塩田川の「河口の赤潮被害」でした。

 

ところで、塩田川の名前は「淡水が得難い」ことからきているのだろうかと想像したように、2019年に茨城県沿岸をひたちで通過した時に見つけた塩田川下流山と海岸が近すぎて海水が水田にはいりそうに見えたと感じましたが、全国には他にも宇部市静岡市にも「塩田川」があるようです。昔の人たちはどんな観察から、この名前をつけたのでしょうか。

 

*澪とは何か*

 

さてその佐賀県嬉野市に流れている塩田川の河口にも干拓地が広がっていて、何度も地図を眺めていたのですが、航空写真に切り替えたときに海底に幅の広いまっすぐな線が写っているのに気づきました。

航空写真のつなぎ目なのだろうぐらいに思っていたのですが、あれが「ミオ筋」なのだとつながりました。

 

「河口の赤潮被害」では「作澪」について書かれていました。

作澪(サクレイ)とは、「干拓や入り江などに、潮の流れをよくするため水路を開くこと」(デジタル大辞泉)だそうです。

 

「澪(みお)」という漢字からは、女性の名前ぐらいしか思い出すことがなかったのですが、あの海底に写っている道だったのですね。

 

三角州などの遠浅で泥質の干潟の表面にえぐられた河川延長上の浅い水路、屈曲・分岐することが多い。軟かい砂泥からなり、高潮期には海面下に没するため、波や流れによって形態が変化しやすい。東京湾、大阪湾、伊勢湾、有明海などの内湾奥部に多い。とくに潮差の大きい、有明海北部では流路は直線的で、両岸に自然堤防が形成されている。澪は小型船の交通路として利用されるが、伊勢湾台風の高潮のように高潮や津波が遡上して潮位を高め大被害をもたらすことがある。

コトバンク、「世界大百科事典第2版」より )

 

干拓」とは陸上に平地をつくるだけでなく、排水のための海の道も必要だったとは。

Wikipediaの「諫早湾干拓事業」の「完成」には、「『ミオ筋』を干拓地に掘る作業も不要になった」と一言だけ書かれていますが、その失敗とか危険を避けるための歴史はどんなことがあったのでしょうか。

 

 

 この記事をアップしようと準備していたら、佐賀・長崎の大雨特別警報のニュースがありました。嬉野市塩田川の名前も聞こえてきました。

ここ2~3日、今まで訪ねた中国・山陰地方今回訪ねた佐賀・長崎の地名や映像が次々に伝えられてきます。

どうか大きな被害が出ませんように。水害から守るために働いていらっしゃる方々の安全も守られますように。

 

 

 

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