ひと雨ごとに気温が下がっていくこの時期は、夏が好きな私にはちょっと寂しい季節です。
まあ、今年はさすがに 暑さが災害になるほどなので、もう十分かなとは思いますが。
さて、学生の皆さんはちゃんと夏休みの課題を終えたでしょうか?
私は今年は是非、新芽からの蓮の成長を見届けようという目標を立てたのに、ほとんど実現できませんでした。
暑かったし、いろいろと忙しかったしと、自分に言い訳している大人ってダメですね。
まあ、今年は古代蓮を見に行ったので良しとしましょうか。
9月に入って、まだ蓮の花が咲いているらしいと知って、不忍池に行ってみました。一面、濃い緑の大きな蓮の葉の中に、まだぽつんと蕾が残っていてそれもまた風情があります。
面白いのは、この時期にはさまざまな段階の蓮の花托を一緒に見ることができることでした。
こちらの記事で紹介した「季節の花300」の「花托ができるまで」の定点観測の写真にあるような、それぞれの日数の花托があちこちにあります。
色も大きさも、中の種の形や大きさも、そして花托の向きもそれぞれが違っているのですが、しばらく見ていると、だいたいどれくらいの時期のものなのか法則性のようなものが見えてくるようです。
2週間後、1ヶ月後と、この蓮の花托がさらにどのように変化していくのか、今度こそまた見にきたいと思いました。
<花托から果托へ>
Wikipediaのハスの説明には、「日本での古名『はちす』は、花托の形状を蜂の巣に見立てたとするのを通説とする」とあります。
花托の形そのものが本当に蜂の巣にそっくりですし、その中で種が大きくなっていくのも蜂の子に似ています。
あらためて、なるほどと思う説明です。
ところで、昨年はまだハスとスイレンの違いもわからないぐらいで、「花托」という言葉も初めて記憶されたくらい蓮について知らないことばかりですが、あの蓮の花の台座のような部分は「花托から果托へ」と変化するそうです。
花托について検索していたら、日本蓮学会というサイトがありました。学術的というより蓮好きの方々が作ったもののようです。
その中に「蓮の花の各部 5、『花托から果托へ、そして蓮の実へ』」という記事がありました。
蓮の花は開花から4日目に花弁が散り、花托になりますが、黄色系統のものは、雄しべが残るものがあります。散った後の花托は緑で、直径が5センチほどですが、受粉した雌しべは緑色からしだいに熟して茶褐色に変わり、20日ほどで受粉した雌しべは茶褐色の「蓮の実」になります。「花托」は「果托」に書き改めています。「果托」の直系も10センチから15センチほどに大きくなります。
すごいですね。蓮の花の変化はなんとなくのイメージで気にしていなかったのに、こんな詳細もきちんと観察されて分類されているのですから。
ところでWikipediaの「ハス」にはカンボジアの子どもがまだ青い果托を持っている写真、おそらく売り歩いているのだと思いますが、この日本蓮学会の「メシベとハスの実の話」の中にも「カンボジアの子どもたちは、まだ花弁がついているままの花托の実をとりだして食べていたので、私も真似をしてみたら、とても甘かった」と、青い花托を割った写真とともに書かれていました。(サイトの上の「蓮の豆知識」をクリックすると、その記事が出ています)
まだ花托も青く、種も外から見たら小さくて先端しか出ていない時期なのに、中にはかなり大きな種ができていて、その周りをふんわりと柔らかい組織で包まれています。
なんて不思議な植物なのでしょうか。
わずか2〜3週間なのに、花托から果托へとダイナミックな変化がその中で起きていたのですね。
そして最後は、シャワーヘッドのような果托が下へ向いて、種が池の中に落ちていく。
すごいですね、合理的というか。
なんで今まで知らなかったのだろう、気づかなかったのだろうということが多すぎて、定点観測してみたいことが山積みです。