記憶についてのあれこれ 134 <さぎとかも>

時々呪文のようなタイトルになるのですが、パッと見て思いつくのは「詐欺とカモ」でしょうか。
今回は、鳥の話です。


先日、目黒川緑道を歩いていたら、さぎが2羽いました。
そこは、目黒川の上流部分の暗渠の上に下水道の再生水を流した人工の川です。
周辺は植物が丁寧に手入れされていて、都内でも結構好きな場所です。
鯉がいる区間もあるのですが、それ以外は人工的なせせらぎで、一見小魚も見えないですし、さぎは何をついばんでいるのだろうと興味が湧きました。


そして、ふと思いついたのが今回のタイトル。
自分で「うまいことを言った」とちょっとニヤリとしたのでした。


<外国の鳥だと思い込んでいた>


さぎとかも、この2種類に共通しているのは、私自身が初めて見たのが成人になってからで、なんとなく外国の鳥だと思い込んでいたのです。


幼児から高校卒業まで住んだ地域では、見ることがありませんでした。
目の前に水田が広がっていましたが、さぎを見た記憶が全くありません。
ただ、子供の頃は倉敷に行く途中で姫路城を見る機会があって、白い壁が白鷺の姿に似ているから別名白鷺城と言われていたことは知っていたのですけれどね。


初めてその姿を見たと記憶しているのが30代に入る頃で、都内のとある川でした。
すごい珍しい白い鳥がいるのになんでみんな驚かないないのだろうと、印象に残ったのでした。その後、じきに東北新幹線に乗る機会があって、埼玉県を通過するときに水田地帯にたくさんのさぎが飛んでいるのを見て、日本にもとからいる鳥であることを知りました。


カモを初めて見た、というより意識に残ったのは80年代に流行したバードカービングデコイでした。
「カモ=外国の鳥」というイメージができたのでした。
その後、いつ頃からでしょうか、丸の内のオフィス街の池でカルガモの親子がいることがニュースになったのは。その頃も、まだ外国から連れてきた鳥が日本で繁殖をしているのかと思っていました。


90年代ぐらいになると、あちこちの川や公園の池などでカモを見るようになり、私自身、珍しくなくなったのですが、日本にも昔からカモがいたということを知ったのはいつだったか。
「鴨南蛮」とかあるぐらいだから、さもありなんと納得したのでした。
今だったら、ググればすぐにわかる話なのですけれどね。


たまたま私が高校生ぐらいまでは、さぎもかももいない地域に住んでいたということだったのだと理解しました。


ところが先日、母の面会に行ったら、大きなさぎが空を飛んでいました。
「珍しいね。私が子供の頃はいなかった鳥なのに」と驚いたら、「そんなことないわよ。昔からいた」と母に言われました。


いやはや、記憶というものはホント怪しいものですね。
まあもしかすると、母の記憶が違う可能性もありますが。
さぎとかも、記憶の不確かさを一緒に思い起こすことになりそうです。




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