散歩をする 226 多摩川と新幹線

6月に入って都内の「感染者数」が毎日増加していく報道に、検査の状況が変化しからだろうとおおむね理解しながらも、どれくらいになったら今回はどのように生活を変える必要があるのだろうと全く先が読めないまま時間がすぎていく感じです。

この感じは3月28日に週末外出自粛が言われた頃の気分だと思い出していますが、あの頃は何人だったっけとすでに記憶があいまいです。NHKの「都道府県別の感染者数」を見直したら、3月28日は64人でした。検査数が限定されていた時期なので、今の4分の1ぐらいでしたが恐怖心を感じていた時期でした。

 

その1週間前はどうだっただろうと見ると、3月20日春分の日はまだ11人でした。

その日、これから大変な時期になるだろうなと半ば絶望的な気分と、しばらくは外出もできないかもしれないと、散歩に出かけたのでした。

なんだかむしょうに新幹線を見たくなり、お正月に歩いた多摩川に行こうと思いつきました。そこなら川も見ることができます。

 

*美しい多摩川と新幹線*

 

渋谷でおにぎりを買って東横線に乗り、多摩川駅で降りました。

「外出は避けて」「ほかの人と距離をとって」と言われていた時期だったと思うのですが、やはり考えることは同じなのか、多摩川のそばで過ごそうという人がけっこういました。

川を眺めたい人は堤防に腰掛けているのですが、私は多摩川も見たいし新幹線も見たいので、丸子橋の上でしばらく眺めていました。

 

30分ほどいただけでも、何本も新幹線を見ることができました。

お天気も良かったので、青い空と青い水面そして白い車体が本当に美しい風景でした。

 

新幹線が通過すると、次か来るまでは多摩川をのぞき込んでいました。

驚くほどの魚がいました。黒っぽい背の魚が大きな群れになって泳いでいます。その群れをめがけて、なんとカワウが美しく潜水していきました。もう惚れ惚れする泳ぎ方と飛び立ちかたです。

ところが、カワウが水に近づいただけで、群れはサーっと方向を変えてなかなかカワウに捕まりません。

 

ヒューっと新幹線が近づく音が遠くから聞こえると線路の方を眺め、通り過ぎるとこのカワウと魚の攻防を眺めていたらあっという間に30分を過ぎていたのでした。

 

思い返せば、私にとって川といえば多摩川くらい最も身近な川だったのですが、生活排水で汚れて魚もすまないような時代から、こんなに美しい川に変化したことが夢のようです。

川を綺麗にしよう、魚や鳥が住む川にしようとたくさんの方々の運動が実を結んだのですね。

 

*武蔵小杉とS字カーブ*

 

丸子橋を渡って、堤防に座って新幹線を見ながらおにぎりを食べて休憩。

 

今日の散歩のもう一つの課題、「なぜ武蔵小杉あたりで新幹線はS字状にカーブしているのか」を確認しに歩き始めました。

品川から大崎のあたりでも同じようなカーブがあります。まっすぐに通したほうが走りやすそうですね。

大崎も武蔵小杉も今でこそおしゃれな住宅街ですが、新幹線が造られる頃は工場が広がっていた場所で、きっと用地確保もそれほど難しくなかったのではないか、何か地形が関係しているのかなどあれこれと想像しながら、線路沿いに歩いて見ました。

 

新幹線の車窓から見えるお寺のそばを通り、線路の下を超えて堤防を降りると、日枝神社があります。なんと大津にある神社と同じ比叡山の神様だそうです。

住所の上丸子山王町というのは、この山王信仰と関係があるのでしょうか。

 

そこから再び、新幹線の線路沿いに駅まで歩いてみました。

結果、素人にはS字カーブがなぜできたのか、全くわかりませんでした。

ただ、新幹線に乗っているときには考えたこともなかったのですが、武蔵小杉駅のそばをカーブを描きながら新幹線が現れて通過していく風景は、それはそれはときめく風景でした。

 

本当は日吉のあたりまで歩いてみようと思ったのですが、カワウと魚を眺めていたら予定外に時間がたってしまったので時間切れとなりました。

ところで、「日吉」もまた日枝と同じ、山王信仰につながる地名のようです。

 

いつの時代もさまざまな天変地異や人災を乗り越えてきたのかと、ちょっと胸につまる散歩になりました。

 

 

「散歩をする」まとめはこちら

新型コロナウイルスに関する記事はこちら