水のあれこれ 89 <疎水>

疎水という言葉が初めて印象に残ったのは、確かブラタモリ琵琶湖疏水を紹介していたときでした。
なんとなく知っているつもりになって、その言葉をそのままにしていました。


大和田機場から印旛沼よりにあるまっすぐな新川ですが、印旛放水路の「概要」に以下のように書かれています。

途中の大和田排水機場を境にして印旛沼側の掘割工事により開削された疎水部分である「新川」と、東京湾側の自然河川である「花見川」とを合わせて「印旛放水路」と呼ぶ。

河川管理上は、花見川より低地である新川が印旛沼放水路の上流にあたる。これは大和田排水機場の排水が新川から花見川へしかされないためである。


えっ?疎水の意味って何だろう。初めて疑問に思ったので、検索しました。
Wikipediaには「疎水」が2つありました。
疎水では「水になじみにくいこと、または、馴染まないこと。親水の対義語」「利水のために水路をつくること、あるいはその水路。上と区別するため「疎水」の表記を用いることが多い」とあります。
もうひとつの疎水では、「他の水源から水を引く目的で作られた水路のこと」と、これもまた簡単な説明しかありません。


「新川」は花見川という「下」の部分と区別するためのようですし、水源から水を引くというよりは花見川へ必要以上に水を流さないための水路のようです。


この場合の「疎水」って何だろう。


<「印旛沼開発事業」>


水資源用水総合管理所のホームページに、印旛沼開発事業の説明があり、印旛沼から新川、そして大和田排水機場と花見川の水位についての図がありました。



印旛沼には利根川長門川の間に印旛機場があり、長門川と印旛沼の間には酒直水門、そして東京湾側に注ぐ花見川との間に大和田機場があるようです。
その理由が「管理の概要」に書かれています。

 印旛沼は、農業用水、工業水および水道用水が安定的に取水が出来るように5月〜8月はYP2.5m、9月〜翌年4月まではYP2.3mを常時満水位と定め、酒直水門と酒直機場を操作して水位管理を行なっています。

 また、洪水時に利根川への自然排水が不可能と判断した場合には、印旛水門を閉鎖して利根川からの流入を防ぐとともに、印旛機場(排水92トン)を運転して、洪水を利根川に排水します。
 それでも印旛沼の水位が下がらない場合は、さらに大和田機場(排水量120トン)を運転して、花見川を通じて東京湾に排水することによって、印旛沼周辺の農地や市街地等の洪水被害を防止しています。


「YP」、あの水位標ですね。
こうして、散歩で知ったことがつながることも醍醐味ですが、言葉ひとつにも現実の風景が記憶されていくことが楽しいですね。


「疎水」
専門的な意味はまだ理解できていないのですが、利根川東遷事業から印旛沼の開発と治水の歴史が思い浮かぶことになりそうです。




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