食べるということ 78 八戸のはっと汁

散歩の2日目の馬淵川沿いを歩く計画はだいぶあきらめたまま八戸駅方面へとバスで向かい、繁華街のあたりで下車しました。

薄暗くなりましたが、まだ5時前です。

どこかで温かいものを食べてからホテルへ向かうことにしました。

 

疲れすぎると食欲がなくなり、豪華な食事ではなくあっさりとしたものが欲しくなりますが、ずっと食べ慣れてきたお蕎麦やうどんがこんな時にほんとうにありがたい食事に感じます。

お蕎麦やさんを探していたら、八戸駅でみつけた郷土料理名をみつけました。

「はっと汁」です。

店内には誰もいなかったので、これ幸いに入りました。

 

お店の方に「はっと汁はどんなものですか?」と尋ねると、ちょっと説明し難い様子で「豚肉や鳥肉そして野菜が入った汁で・・・」とのこと。

なんだかわからないけれど美味しそうです。食欲が戻ってきて、お蕎麦も頼みました。

 

大ぶりのお椀に、実だくさんの汁が運ばれてきました。

「中のはっとが柔らかくなってから食べて」とのことです。

平たいお麩のようなものが割られて入っていました。これが「はっと」のようです。

豚肉と鳥肉の両方が入っているのでご馳走の一つでしょうか。

子どもの頃に岡山の祖父母の家で食べた懐かしいお雑煮のような味で、一気に食べてしまいました。

 

翌朝、JR本八戸駅売店でこのはっと汁セットをみつけました。南部煎餅のような白くて丸いせんべいとスープが入っていて、帰宅してからはしばらくこのはっと汁にはまったのでした。

 

 

*青森のはっと汁は「せんべい汁」*

 

「はっと汁」を検索したら、岩手県や宮城県の郷土料理とか、すいとんのような説明は見つかるのですが、私が食べたあのはっと汁とは違います。

 

「じゃぱん 日本のパンを『たべる』と『つくる』を応援するサイト」に「せんべい汁青森県)」がありました。

今回は「せんべい汁」。青森県八戸周辺で、江戸時代の天保飢饉の頃に生まれた郷土料理で醤油味で煮立てた汁物に専用の南部煎餅を加えた鍋料理のことです。汁は醤油味で、鶏肉、ごぼうの他、人参、ネギ、キノコ類など秋冬の野菜を煮込んだもので、せんべいをこの汁に入れて煮込み、ふやかして食べます。

 

ああ、これこれ!

やはり南部煎餅の一種だったのですね。

 

東北地方はたびたび飢饉に襲われ、米が十分に食べられなかったこともあり、小麦粉を練った生地を煮て食べる「すいとん」に似た料理が各地に伝わっています。盛岡地方の「ひっつみ」、仙台や一関地方の「ハット」など、さまざまな形がありますが、せんべいという保存できるものにしているのが八戸のせんべい汁の特徴です。南部煎餅の一種である専用のせんべいを使うため、他の地域にはなかなか広まっていかなかった料理ですが、今では「八戸せんべい汁」として地域おこしの象徴にもなっています。

 

「はっと汁セット」は軽いのですが少しかさばるので、4回分入りを一袋だけ買って帰りましたが、もっと買えばよかったと後悔しました。

「専用のせんべい」を見かけたら、絶対に機を逃さず買おうと思っています。

 

 

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