助産師と自然療法そして「お手当て」 39 <出産・育児周辺の整体>

「整体」と称している療法はまさに百花繚乱という感じで、考え方も「施術」もさまざまだということが調べているうちにわかりました。


そして、妊産婦さん、あるいは産後のお母さんや赤ちゃんに対する整体もけっこうあるようです。


野口整体


野口整体といえば出産後、左右の骨盤が閉じるまで安静にするという考え方に驚いたのですが、それ以外にも妊娠中や産後についての効果を謳っているようです。


ある野口整体の整体院では、以下のように書いてあります。

妊婦の整体は、妊娠・出産を、母体をより健康へと導く機会として活用するものであり、同時に産まれ来る赤ちゃんが元気で丈夫な子に育つための基礎をつくることが目的である。もちろん妊娠中のいろいろなトラブルにも対処する。

そんなにすばらしい方法があれば、是非その方法を一般化して、それこそ助産師の保健指導として採用できたらよいのではないかと思います。

妊娠中に起こる症状として多いのは、つわり・むくみ・腰痛などだが、これらは愉気を主体としたシンプルな操法でほとんどの場合、簡単に消失していまう。

愉気(ゆき)とは手を当てることのようです。

つわりの8〜9割は、妊娠して緩むべき骨盤が硬直している場合に起こる。ほとんどは骨盤の左右どちらかがより硬直し、そちら側の腸骨が開きにくくなっている。これを愉気して緩めれば、だいたいの場合1回〜2回の操法でつわりはなくなってしまう。

野口晴哉(はるちか)氏は、「腰椎5が引っ込んでいる」ことがつわりの原因としていたようですが、同じ野口整体でも考え方が変化しているようです。


いずれにしても「治療を捨てた」野口整体ですが、かなり治療に踏み込んだことが書かれています。


<マタニティ整体>


昨日の記事で「マタニティ整体」を掲げている助産院について紹介しましたが、この「マタニティ整体」というのはすでに商標登録がされている言葉のようです。


驚きですね。


マタニティ整体(R)のためのマタニティセラピストという資格もすでにあるようです。
そのスクールのHPには以下のようなことが書かれています。

○○スクールは、妊娠中のマタニティ期から産後の育児期の間、すなわち出産前後(アラウンドバース)の時期の女性の身体の変化に対する正しい知識と、それに対応できる整体技術の基本と考え方を学ぶスクールです。

マタニティ整体や産後の骨盤矯正テクニックといった「アラウンドバース」な時期に対しての知識や技術を教えている既存の整体スクール、専門学校というものは今まで存在せず、施術者としてもなかなか体系的に学ぶ機会というのがありませんでした。

そのため「妊婦さんに整体は危ない」という誤った先入観が業界内にも蔓延し、「産後のもっとしっかりした時期になってからまた来てください」などというネガティブな発言で施術を断る整体院も多く、この時期の女性は従来、辛い症状を抱えていながら施術を受ける事すらままならない、というのが現状でした。

医学的な教育体系のない「施術」であれば、妊婦さんを断るのはとても誠実な対応だと思います。

マタニティ整体や産後の骨盤矯正テクニックといった「アラウンドバースの女性」を中心にした、従来にはなかった新たなスタイルの整体院を開業するための必要にして十分な知識を学べる。

資格取得コースは、2週間(98時間)で約52万円のようです。


すでに系列店ができているようで、助産師も「開業」しているようです。
大丈夫ですか?


<その他いろいろな整体>


それ以外にもいろいろと名前のついた妊産婦さん向けの整体があるようです。
まずは、「妊婦整体」から。

女性は妊娠するとホルモンのシャワーを浴びているような状態になります。特にhCGが分泌されると特定の「張り」がつわりの原因になります。
また、胎児が大きくなるにつれて「重心」の位置がかわり、さまざまな不調の原因となります。
それらを非常にソフトな刺激で改善していくのが妊婦整体です。

妊婦整体は全身施術により、より効果的な方法となります。効果としては、
からだの余計な緊張が緩和する
安産になる傾向が高まる
胎児の成長が促される
産後の肥立ちが良好になる傾向が高まる

上記で「マタニティ整体」は商標登録らしいということを書きましたが、系列店ではなさそうなところでも使っています。
そちらの内容です。

お腹が大きくなるにつれ、重心が変り、進退の負担が大きくなるマタニティママ。「背骨・骨盤・肋骨」を調整することで赤ちゃんが育つスペースを広げ、「首」を調整することで自律神経やホルモンのバランスを整えます。赤ちゃんに栄養が運ばれやすくなります。


これらが実証されたら、世紀の大発見という感じで周産期医療はそうとう変ることでしょう。
それらの施術を助産師教育に組み込めば、妊娠・出産の異常を予防するためのプライマリーケアがどの医療機関でも受けられることになり、異常の発生が抑えられることになるでしょう・・・。


まぁ、助産師が施術をするようになったら、整体院は失業してしまうことになりますが。


次回は、新生児・赤ちゃんへの整体についてです。




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