代替療法

思い込みと妄想 35 <呼吸についての妄想>

ブログへの検索ワードに「呼吸の始まり」がありました。 「呼吸の始まりと啼泣(ていきゅう)」という記事を書いたので、それを読んでくださったのかもしれません。 その言葉から逆に検索してみて、「ああ・・・」とうなだれました。 新生児の第一呼吸でさえ…

気持ちの問題 14 <なぜ代替療法が良くみえるのか>

紫雲膏のことをつらつらと考えていたら、ちょうど「カンボジアを癒す伝統医療、再び注目を集める」(朝日新聞デジタル、apital、2015年12月3日)という記事が目に入りました。 祈りや薬草で病気を癒す伝統医療師。内戦が続いたカンボジアでは。ポル・ポト派の…

赤ちゃんに優しいとは 7 <どこまで検証されているかを整理する>

前回の記事で、自宅分娩を介助した助産師の臍の対応方法が書かれた部分を紹介しました。 その部分を再掲します。 臍帯の処置は、清潔保持と乾燥のみで、それ以外は何も行わなかった。日齢7の7時42分に脱落した。助産師の助言で、紫雲膏(漢方系の軟膏)を1…

思い込みと妄想 24 <子どもの「未病」対策?>

m3.comの配信記事に、「あ〜あ」という記事がありました。 「未病」共同で対策へ 九都県市首脳会議 首都圏の知事や政令市の市長でつくる「九都県市首脳会議」が9日、千葉市内で開かれ、病気の前段階である「未病」について、食生活や運動習慣など子どもの未…

思い込みと妄想 23 <菌をスプレーするとどうなるか?>

先日、外で食事をしていた時のこと、後ろに座っていた20代から30代くらいの女性2人が熱心に話をしていたのですが、「抗体」とか「血液」の単語が聞こえて来たので、医療従事者なのかなとなんとなく会話が気になっていました。 そのうち、1人が「消臭スプレ…

思い込みと妄想 22 <ロータス・バース・・・胎盤を残したままにする>

心配な伯母さんからコメント欄でこんな相談がありました。(心配な伯母さん、ありがとうございます。そして承諾なしに本文中で紹介してすみません。) 義妹が10月に初出産を控えています。その時、自宅出産を希望しており、その理由が赤ちゃんのために胎盤を…

定点観測

昨日の記事の植物の変化のように、毎日連続して見ていると気づかない変化も、1週間おいてみると違ったものが見えてきます。 その地域に住んでいた時、あるいは1年に1〜2回ぐらいしか帰省しなかった頃には見えなかった変化が、今、父のところへ1週間から10…

思い込みと妄想 18 <マクロビ『派』ビスケット>

連日、辰巳国際プールでの競泳日本選手権の熱戦は本当にわくわくしました。 私の印象に残った場面はたくさんあるのですが、表現するのは難しいですね。 5月のジャパンオープン、そして世界水泳と楽しみにしています。 さて、辰巳からの帰路は、いつもじんわ…

競泳日本選手権、始まる!

今日から12日まで、競泳の日本選手権が始まります。 最近は6日間という長い日程が多いので、全日程を観に行けなくなり残念ですが、行ける日は辰巳の国際プールへと通おうと思っています。 大会に先駆けて、先日の「GEt SPORTS」(テレビ朝日)で松田丈志選…

記憶についてのあれこれ 38 <思い出させることが良いのだろうか>

先日、テレビをつけたらNHKの「くらし☆解説」の「認知症 音楽で笑顔を」という番組が放送されていました。 「若い頃のことなんて忘れたわ。90になるのだもの」と話していた90代の認知症の女性に、昔好きだった音楽を聴かせたら表情が明るくなり、子ども…

美容室とマッサージ

美容室の話が続きますが、新しく出会ったお店で最初に伝えた事がありました。 「シャンプー後のマッサージは不要です」と。 もともと肩こりもないしマッサージとも無縁の生活であることと、人に体を触られるのはどちらかというと苦手です。 ただ今まではなん…

思い込みと妄想 7  <社会が求めているわかりやすい答えとして妄想話ができあがる>

いつも参考にさせていただいている「食品安全情報ブログ」ですが、2014年6月24日の「その他」に「私たちは本当にシャワーカーテンが体重を増やす原因があることを心配しなければいけないのか?」というタイトルがありました。 「シャワーカーテンが体重を増…

助産師と自然療法そして「お手当て」48 <「正しい寝かせ方で姿勢のきれいな赤ちゃんに」>

前回の記事で2000年に米国小児科学科が出した赤ちゃんの寝かせ方についての勧告を紹介しましたが、その中の「硬めのマット」に「シーツ以外は置かない」というのは、日本でも自明と受け止められていたことが改めて文章になった程度のことだと思います。 …

新生児のあれこれ 46 <赤ちゃんの寝かせ方>

「赤ちゃん」と一口に言っても出生直後から1歳前後までその幅は広いのですが、今回の話題はおもに2〜3ヶ月までの赤ちゃんの寝かせ方についてです。 私の手元にある周産期関係の本や自治体の母親学級のテキストなどに目を通してみましたが、「新生児をどの…

思い込みと妄想 4 <新しい疾患や情報をたくみに取り入れる>

思い出すと、こちらに書いたように、私が小さい頃から我が家には健康法やら代替療法があふれていました。 青竹踏みとか、ビタミンCの大量内服とか、西田式健康法の本とか・・・。 「ひと口50回は噛むように」言われたのもそのたぐいでしょう。 1960年代から7…

思い込みと妄想 3 <妄想は専門用語の形で入ってくる>

昨年書いた「助産師と自然療法そして『お手当て』」という記事は、ここから23番目の記事までは主にマクロビオティックについて、24番目の記事から46番目の記事までは整体についてです。 マクロビや整体に限らず、代替療法では治療の域を踏み越えて効果や効能…

思い込みと妄想 2 <代替療法と妄想>

代替療法とはなにかについては、こちらの記事から5回ほど書きました。 百花繚乱の代替療法ですが、「それをしたら気持ちが良かった」に関しては問題にしていません。 それを越えて、「○○に効果があった」と治療の領域に踏み込んだものについて考えています。…

医療介入とは 93 <「医療を使わない助産」のようなものの幻想と幻滅>

「写真でわかる助産技術」 (監修 平澤恵美子、村上睦子、インターメディカ、2012年3月) サブタイトルが「・・・妊産婦の主体性を大切にしたケア、安全で母子に優しい助産のわざ・・・」とあります。 「医療介入とは」の記事を書くために書店で見つけたもの…

助産師と自然療法そして「お手当て」47  <左右非対称は自然ではないか>

胎児と新生児の左右のあれこれを書いてきました。 こちらの記事までで紹介してきたように、整体的な考えの中には左右対称がよいことという考え方が強いように感じられるのですが、人の体はそもそも左右非対称が『自然』なのではないかと考えてみたくなったか…

助産師と自然療法そして「お手当て」 46 <母子整体の『仮説』は何か>

私からみるとトコちゃんベルトは「腰痛や恥骨痛のある妊婦さんにとって締めやすそうな骨盤ベルト」のひとつにすぎないものですが、パンフレットやHPを読むとベルトの装着・操体法と合わせた「骨盤ケア」でさまざまな効果があることが書かれています。 母子…

助産師と自然療法そして「お手当て」 45  <「妊娠9週までに丸ナス型の子宮作りを!」>

「妊娠9週までに丸ナス型の子宮作り」って何のことやらと思う方がほとんどだと思います。 助産師なら「助産雑誌」などに掲載されている広告で、見たことがある人は多いでしょう。 「こわいことが書いてあるから」と捨てられたパンフレット」にも説明が載って…

助産師と自然療法そして「お手当て」 44 <赤ちゃんの頭のゆがみの原因>

さて例の怖いことが書いてあるパンフレットを少しずつ見ていこうと思います。 「なぜ赤ちゃんの頭がゆがんでいたらダメなの?」という漫画があって、次のようなことが書かれています。 最近の子供たちの中にはまっすぐに走れない子や・・・でんぐりがえりが…

助産師と自然療法そして「お手当て」 43 <赤ちゃんの「頭のゆがみ」とは?>

先日、退院間際のお母さんが「こわいことが書いてあるから」とゴミ箱に捨てていたので、そのパンフレットをもらって帰りました。 トコちゃんベルトを購入されたときについてきたパンフレットだそうです。 「トコちゃんのベビーケアー おかあさん!赤ちゃんの…

助産師と自然療法そして「お手当て」 42 <母子整体とは?−新生児・乳児編>

母子フィジカルサポート研究会のHPの最初には「キーワードは『姿勢と発達』」とあり、中の「母子フィジカル研究会とは」には、以下のように書かれています。 当会の提唱する「母子フィジカルサポート」とは、「母と子がその人らしく妊娠・分娩・育児に適応で…

助産師と自然療法そして「お手当て」 41 <母子整体とは?ー妊産褥婦編>

助産師の中の整体の火付け役ともいえる母子フィジカルサポート研究会(母子整体研究会)はどのような考えに基づき、どのような対応を行っているのでしょうか。 しばらくこの母子フィジカルサポート研究会(母子整体研究会)についてみていこうと思います。 …

助産師と自然療法そして「お手当て」 40 <新生児や赤ちゃんへの整体>

出生直後の新生児を逆さづりにする助産師の話を直接聞いてショックを受けたのは数年前のことでした。 知人の孫が自宅分娩で生まれた時のこと、分娩介助した助産師が生まれた直後の新生児の足を持って逆さづりにしたというのです。 「胎内で歪んだ体を、左右…

助産師と自然療法そして「お手当て」 39 <出産・育児周辺の整体>

「整体」と称している療法はまさに百花繚乱という感じで、考え方も「施術」もさまざまだということが調べているうちにわかりました。 そして、妊産婦さん、あるいは産後のお母さんや赤ちゃんに対する整体もけっこうあるようです。 <野口整体> 野口整体とい…

助産師と自然療法そして「お手当て」 38 <助産師が行っている整体的なもの>

おそらく助産師の中で「整体」という表現を使って妊産婦さんあるいは新生児・乳幼児になんらかの行為を行っているひとたちのほとんどが、前回の記事に書いたように母子整体研究会に関係しているのではないかと思っています。 その内容については、後に少しず…

助産師と自然療法そして「お手当て」 37 <恥骨痛と母子整体>

いつ頃からでしょうか。 助産師の中に「整体」という言葉が聞かれ始めたのは。 よくわかりませんが、開業助産師さんたちの間では古いのかもしれません。 でも私たちのように病院・診療所で勤務する助産師にとって、整体というのは聞きなれないものでした。 …

助産師と自然療法そして「お手当て」 36 <整体の歴史と出産の医療化 3>

前回の記事で参照した「我が国の分娩場所の推移」(pdf注意)を見ると、1950(昭和25)年代初頭にはほとんどが家庭分娩であり、1955(昭和30)年の時点でも助産所を含む医療機関での出産は20%以下に過ぎませんでした。 その後1960(昭和35)年頃には半数の出…