助産師の世界
助産師の乳腺炎のケアに対する総論も各論もまだ未成熟な段階で、乳腺炎への対応に診療報酬が支払われることは寝耳に水でした。 むしろ、妊婦健診補助券のように、産後1年間ほど使える補助券があったら良いのにと思っていました。 そうすれば、「体重が増え…
臨床で働いている多くの助産師や看護師が経験した症例報告から必要なケアを探り当てるというシステムがない助産師の世界は、いつの間にか力を持った団体が現場のニーズとは程遠い研修や制度を作っていくことが、乳腺炎の診療報酬の件でもわかりました。 そし…
ひとつのタイトルでいくつか記事がたまったままになっているものがあります。 なぜそのタイトルを思いついたのだろう、そのまままとめて良いのだろうかと逡巡することもあります。 「助産師の歴史」もすでに5つほど、記事があります。 ただ、学問的な歴史の…
私の周囲ではとんと耳にすることのなくなったアドバンス助産師ですが、最近はどうなっているのだろうと久しぶりに検索したところ、「知的財産権判例ニュース」の「出願商標『アドバンス助産師』について公序良俗を害するおそれがあるとはいえないとされた事…
この「助産の歴史」も6年ぶりの記事更新です。 歴史といっても学問的に検証された話ではなく、私が助産師として働いて来た30年はどういう時代だったのかを思い出しながら、記録しておいたほうがよさそうな動きを書いています。 なんといっても「江戸時代には…
ブログを書き始めた頃に、「助産師の世界」のタイトルで書き始めた記事が2つありました。 6年ぶりの記事です。 右欄に「助産師の世界」のタグがありますが、そちらは代替療法などを積極的に取り入れる不思議な助産師ワールドの話も含まれています。 こちらの…
助産師の中に広がる代替療法や変な雰囲気について書きつつも、一緒に働いて来たほとんどの同僚はごくごく真っ当に働いていると思っています。 むしろ、あれだけ話題になったホメオパシーと助産師の件や、助産師向けの書籍で話題になったこともほとんど関心が…
「自然なお産運動」の終焉を書きながら、その行間に書き足りなかったことをつらつらと考えています。 医療の急激な変化に伴って、なかなかそれを受け入れ難い面はあると思います。 たとえば、もし私が今、癌の治療を受けなければいけなくなったら、10年前の…
お一人目を助産院で出産された時のご経験を教えてくださったさこさんのコメントから、久しぶりに助産所のHPの定点観測をしてみました。 以前は、「身体観」とか「出産観」といった言葉で、自分の体をコントロールし自分らしいお産をするための、主に身体的な…
全国助産師教育協議会のニュースレターを読んで、これを書いている方はどのような周産期医療を思い描いているのだろうと思いました。 「助産師教育の将来ビジョンに役割拡大を」の中で、ICM(国際助産師連盟)の「必須能力」が書かれています。 ICMの必須能…
私が助産師学生だった1980年代終わりごろは、1990年に神戸で開催される第22回ICM(国際助産師連盟)大会を目前にしていて、この業界ではどことなく昂揚感があったことを学生ながら感じていました。 「助産婦の挑戦」(シーラ・キッチンガー著、1990年、日本…
久しぶりに助産師教育ニュースレターを思い出し、最近はどんな内容なのだろうと見に行ってみました。 以前に比べて発行回数が減っているようですし、今年はまだ未発行なのでしょうか。 さて、ニュースレターNo.84(2015年1月25日)の巻頭の内容に、ああ助産…
看護職というのは、看護師・保健師・助産師の3つの資格があります。 保健師・助産師になるには看護師の資格も必要ですが、上記の3つの資格を持っている人もいます。 看護師の中にも国家資格の正看護師と都道府県知事資格の准看護師があったり、看護教育の…
私のブログでは一つの切り口とかテーマから連続した記事になっていくことが多いのですが、時々見直してみると、その続き番号が飛んでいることがあります。 そこでアナログな方法ですがカード化して、今見直しています。 これからぼちぼちと、どうしてその記…
同業者だから時々助産師に対して辛辣なことを書いていますが、「だから助産師は」と言われれば、「いえほとんどの助産師は謙虚に真面目に働いています!」と言い返したい気持ちにもなり、心は千々に乱れます。 ただ、やはりあまりに情報伝達が偏りすぎている…
週刊医学界新聞の「今こそ、助産師像を描く必要がある」というインタビュー記事の最後の方に、「"ALL JAPAN"での取り組みを」と書かれています。 2013年7月に出された「助産実践能力習熟段階(クリニカルラダー)活用ガイド」にも、この「ALL JAPAN」という…
前回の記事で週刊医学界新聞のインタビュー記事に、アドバンス助産師の位置づけについて以下のように書かれていることを紹介しました。 今回、認証するレベル3は、責任を持って自律的に助産ケアを提供し、院内助産システムに従事できるだけの実践能力をもつ…
医学書院の「週刊医学界新聞 第3118号」(2015年3月23日)に、「今こそ、助産師像を描く必要がある」というインタビュー記事があります。 「『助産実践能力習熟段階(クリニカルラダー)』レベル3認証制度の開始迫る」というサブタイトルで日本看護協会常任…
「アドバンス助産師」と聞いて、まず思い浮かんだのが「助産師と高学歴化」の記事に書いた「上級助産師」でした。 私が助産師になった80年代終わりは、まだ専門学校か短大専攻科に進むしか助産師への道はありませんでした。その後、急速に看護教育の大学化が…
「アドバンス助産師」について、昨日紹介した日本経済新聞6月7日の記事では以下のように書かれていました。 分娩介助100例以上、妊婦健診200例以上などの経験に加え、新生児蘇生法や分娩監視装置に関する研修の受講が条件。 認証された助産師は「アドバンス…
看護協会の会員なので、毎月「協会ニュース」が送られてきます。 ざっと助産師に関することは目を通していますが、6月号には気になった記事がありました。 ひとつは平成27年度通常総会での協会の「重点政策・重点事業」です。「少子超高齢化社会に対応する…
昨日の記事の植物の変化のように、毎日連続して見ていると気づかない変化も、1週間おいてみると違ったものが見えてきます。 その地域に住んでいた時、あるいは1年に1〜2回ぐらいしか帰省しなかった頃には見えなかった変化が、今、父のところへ1週間から10…
NHKのこのニュースへの違和感から連続して書いて来た記事ですが、もうひとつ腑に落ちなかったのが最後のこの部分でした。 このほか、げっぷが出にくい子に対して、東京助産師会は、寝かせるときに顔を横にしてしばらく様子をみることも事故防止につながると…
今朝も朝早くから目が覚めたので昨日のうさぎ林檎さんのtwitterを読んでいたら、「書け」と指令が来たような気がしました。 「大学ジャーナル」というサイトの「自分を太くしよう!しんどい場面から逃げない、自立した看護師を育てたい」という記事です。 医…
手元に「助産所開業マニュアル 2013年版」(日本助産師会出版)があります。 少し前に書店で見かけたので購入したのでした。 「はじめに」では「平成11年に初版を発行した」とありますが、1999年以降、書店でこの開業マニュアルが取り扱われているのを見たの…
前回の記事で2000年に米国小児科学科が出した赤ちゃんの寝かせ方についての勧告を紹介しましたが、その中の「硬めのマット」に「シーツ以外は置かない」というのは、日本でも自明と受け止められていたことが改めて文章になった程度のことだと思います。 …
手元にある助産師教育課程の教科書や日本看護協会が出して来た「助産師業務要覧」の何冊かを一通り目を通しても、新生児訪問の際の「心構え」のようなものやどのようなトラブルに注意が必要かといったリスクマネージメントの視点から書かれた内容はありませ…
たとえ新生児訪問の内容が「標準医療に基づいたもの」と明確にされ、訪問では代替療法のたぐいを勧めることはしないということになっても、それだけではきっと問題は解決しないことでしょう。 なぜなら新生児訪問を機会に知り合ったそのお母さんを、助産師自…
新生児訪問はどのようなことをするのでしょうか? 私も、保健センターから借りた吊り式の体重計などが入った訪問バッグを持って出かけました。 「体重を計りますね」とこちらの「訪問用乳児体重計」を取り出すと、皆さん驚かれます。 体重を計り順調に成長し…
新生児訪問が始った1960(昭和35〜)年代というのは、ちょうど出産が病院・医療機関で行われるようになる大きな変化の時代でした。 それでもまだ半数近くは自宅で出産していましたから、分娩に関わった助産師は産後も何度か訪問して新生児の様子をみたり、育…