哺乳瓶のあれこれ 9 <「哺乳瓶禁止」法案?>

WHOコード「母乳代用品のマーケティングに関する国際基準」と聞いて思い浮かぶ最近のニュースが、「ベネズエラ議会が『哺乳瓶禁止』を審議 反発の声も」というものです。

南米ベネズエラの議会で、母乳育児推進派の一環として哺乳瓶の使用を禁止する法案が審議されている。粉ミルクの宣伝も処罰の対象とする厳しい内容で、野党からは反発の声があがっている。


提案されているのは、2007年に導入された母乳推進法の改正案。与党・統一社会党のモンソン議員は国営VTVテレビのインタビューで、「すべての乳児には母乳で育てられる権利がある」と説明。粉ミルクを売り込む多国籍企業は母子間のきずなの形成を妨害しているとも主張した。ただし、施行の具体的な手段や詳細な罰則には言及しなかった。


同議員によれば、母親が病気で母乳を与えられないケースは例外とされる。法案にはこのほか、母乳バンクを増設し、企業に授乳スペースの設置を義務付けることなども盛り込まれた。


これに対して野党議員らは、「07年の法案には、母乳育児以外の道を選んだ母親を責めたり罰したりする規定はなかった。改正案は受け入れられない」と強く反発している。


国保険省が発表した調査結果によると、母乳育児が可能な母親のうち、実際に子どもを母乳で育てているケースは27.1%にとどまっている。VTVによれば、当局は19年までにこの割合を70%にまで引き上げることを目指している。
(2013年6月18日付け、CNN)


このニュースについてexciteニュースから2013年6月27日付けで「母乳で育児をしない母親に罰則?哺乳瓶禁止法案の真相」という記事があります。

母乳強制案
南米ベネズエラで6月中旬、哺乳瓶の使用を禁じ、母乳での育児を強制する法案が審議されているとの情報を同国メディアが報じた。


一部のメディアによると、特別な理由がない限り、乳児に母乳を与えない母親には罰則が科せられるという。同法案に対して、国内外から批判が集まっていた。


しかし与党・統一社会党のモンソン議員は、これらの報道を否定。議会では、2007年に可決された母乳推進法の改訂案と、哺乳瓶の広告およびキャンペーンの禁止案が審議されていることを明らかにした。CI NEWSが報じた。


27.1%が母乳育児
モンソン議員によると、母乳による育児を推奨するため、公共および私営の医療機関において哺乳瓶の広告を禁止する法案が審議中であるという。


ベネズエラでは母乳で育児をすることができる母親が、実際に乳児に母乳を与えるケースはわずか27.1%となっている。北欧ノルウェーでは90%の母親が母乳育児を行っており、ベネズエラがいかに哺乳瓶に頼っているかがわかる。


また世界保健機関も、母乳は成長に必要な栄養分を母乳により補うことができるとし、母乳が子どもの発育に不可欠であると言及している。


ベネズエラは、2019年までに母乳育児の割合を70%まで引き上げることを目標としている。

どちらのニュースも「哺乳瓶禁止?」「哺乳瓶禁止法案の真相」という見出しからは、本当に知りたい経緯や情報が見えてこない内容です。



ベネズエラ国内では、哺乳瓶を使うことが禁止されるのか?と最初のニュースでは認識されてしまうのではないかと思います。


ところが9日後の別のニュースでは、まず「哺乳瓶の広告およびキャンペーンの禁止法案が審議されている」と書かれているので、社会全体で哺乳瓶の広告が禁止されるのかと読めてしまいそうな内容になっています。



でもよく読んでいくと、結局は「公共および私営の医療機関において哺乳瓶の広告を禁止する法案が審議中」というところのようです。



医療機関内での「哺乳瓶の広告を法律によって禁止あるいは制限すること」については賛否両論あると思いますし、そこに焦点をあてた議論はあってよいのではないかと思います。


ところが母乳哺育という話題の中になると、どうしても「母乳が子どもの発育には不可欠」「生後6ヶ月までは完全母乳でそだてるべき」という理想論に対して「それを与えない母親」がいるかのような、そういう受け止め方になりやすいところに注意が必要かと思います。


そして哺乳瓶の広告を法律で禁止する前に、もう少しするべきことがあるのではないかと思います。
そのあたりを次に考えてみようと思います。