境界線のあれこれ 30 <看護師と准看護師の教育制度>

病院によっては、職員の名札に「看護師」か「准看護師」かを明記しているところもあると思います。


また具体的に、看護業務の中で准看護師の範囲を限定し、看護師とは明確にわけている施設もあるかもしれません。


それでも患者さん側にしたら、実際には何が違うのかわからないことでしょう。


wikipedia看護師からその資格の違いを説明すると以下のようです。

看護師は高等看護学校(看護科・専攻科の5年間)、看護専門学校、看護短大、大学で合計3000時間以上の養成教育が行われ、卒業すると看護師国家資格試験の受験資格が得られる。

つまり高校卒業し看護の専門教育(専門学校は3年、大学は4年)を受け、国家試験に合格して看護師になります。


それに対して、准看護師になるには以下のようです。

准看護師(略称「准看」)は准看護師学校(准看護師養成所)あるいは看護高等学校にて1890時間以上の教育を受け、卒業後、都道府県知事資格を受けられる。

この准看護師養成課程の受験資格は中学校卒業以上であることと、国家資格ではなく都道府県知事免許であることが大きな違いです。そして教育課程は2年です。


<学歴の違いなのか?>


私自身、一緒に働いている准看護師さんたちの学歴を聞いたことがないのですが、中には中学卒業後、すぐに准看護師の教育を2年間受け、早ければ17歳ぐらいで「看護師さん」と呼ばれて仕事をしてきた方もいらっしゃるのではないかと思います。
ただ、正確な統計を見たことはないのですが、おおよそ最近では高卒で准看護師に進んでいる人が多いのではないかと推測しています。


私が看護学校に入学した1970年代終わりの頃は、大学で看護学部があったのは3ヶ所ぐらいだったと記憶しています。
ですから、正看護師として働きたいという人は、高卒後、看護専門学校へ進み国家資格を得て21歳で臨床で働き始める人が大半でした。



私が看護学校に進学した頃は社会人入学はほとんど聞いたことがない時代でしたが、最近のように、一旦会社などに勤めてから看護師を目指す人が増えてくると、准看護師の資格として働いている人の中にも高学歴の方もいるようです。


福岡市医師会の「准看護師制度を考える」には、「准看護師課程の最終学歴における短大・大卒の割合は増加傾向にあり、平成23年度は18.8%であった」とあります。


今までは准看護師さんというと中学卒か高校卒が大半だったものが、大卒の准看護師さんもいるわけですから、今後はますます看護は多様なバックグラウンドを持つ人によって支えられることになるのでしょう。


准看護師の「准」とはなにか。
国家資格と都道府県資格の違いなのでしょうか?
もう少し具体的に考えていこうと思います。





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