医療

記憶についてのあれこれ 133 <「安静時間」がなくなり、面会時間が長くなった>

面会についていろいろと考えるこの頃ですが、頼みの綱のWikipediaにも面会についてのまとめは無いようです。 コトバンクでも、「人と会うこと」の意味だけでした。 病院や介護施設などへの面会の機会が以前に比べて増えて、身近な言葉になったと思うのですが…

代替療法とは何か  6 <柔道整復術と医療類似行為>

先日の夕方、とあることで皮膚科を受診しました。 受付から診察まで2時間待ちの混み方で、その大半が子どもたちでした。 看護師さんが症状を確認しているのを聞いていると、顔に小さなぶつぶつができたとか、虫刺されで掻いたあとが少し化膿しているといった…

ケアとは何か  27 <面会とは何か>

面会という言葉は医療以外でも使われますが、コトバンクのデジタル大辞泉では「人と会うこと。対面」といういたってシンプルな説明だけでした。 前回の記事で面会については「教科書的に理解していた」というようなことを書きましたが、医療や介護施設での面…

ケアとは何か  26 <面会は非日常の時間>

10年ほど前に母が急性期病院に入院し、そのあたりから父も母も「入院」「入所」という生活になりました。 それ以来、高齢者の特徴ともいえる突然状態が変化して入院、転院、そしてどこの施設へ移るかといったことの対応だけでなく、そういう状況で死や病気、…

ケアとは何か  25 <観察と神秘>

1970年代終わり頃に看護学生だった頃、授業でナイチンゲールの「看護覚え書」(現代社)を読みました。 70年代から80年代というのは急激に医療が進歩した時代で、それまで原因も治療法もわからなかった疾患が次々と明らかにされた時代でした。 医療機器や医…

観察 する 55 <観察の方法が積み上げられた時代>

前回の記事で紹介した「東京の公園の歴史を歩く」の、「都市の肺」という公衆衛生の側面から公園が生まれたことについて、以下の部分で「ああ、何かそれは違う」としばし考え込みました。 ただしその配置の考え方は、公衆衛生という観点から排水状態の悪いよ…

事実とは何か  52 <社会の怒りと個人の怒り>

医学部で女子受験生を少なく合格させていたというニュースは、入試方法の根幹に関わる問題ですし、医療への不信感にもつながるのでしっかりと調査し改善されなければならないと思いました。 そこまでは「社会」が怒るのも当然だと思いますし、公正な受験方法…

記憶についてのあれこれ 129 <記憶の空白期間>

今年は唐突にという感じで梅雨が明けました。 1週間ぐらい前まで、まだ朝方に肌寒いほどの日もあったのに、梅雨空がなくなるとこんなに気温が変わるものなのかとあらためて不思議に思います。 夏とか熱帯の気候の方が好きなのですが、この梅雨が明けるころは…

医療介入とは 101 <なぜヒトは臍帯切断が必要か、そしてそのために道具が必要か>

私が30年ほど前に助産師になってから、ずっと答えが見つからないままになっている疑問があります。 「竹、石などを鋭利にしたものがない時代や鋏がない時代には、臍の緒はどうやって処理していたのだろう」と。 今でも臍帯切断は緊張感が蘇るのですが、それ…

思い込みと妄想 39 <ロータスさんの思い込みから始まった?>

畝山千賀子先生の先日の食品安全情報blogの中でロータス・バースの記事があり、以前書いた「ロータス・バース・・・胎盤を残したままにする」という記事にトラックバックをいただきました。 カタカナでロータス・バースと書いたものを読んだだけでは気づかな…

専門性とは 4 <看護助手から再び看護補助者へ?>

看護助手という名称はいうごろから使われ、いつ頃から日本の医療機関に広がったのだろう、そんな歴史もずっと気になっていました。 それで「看護助手」で検索したら、「看護補助」という聞きなれない名称がありました。 日本看護協会が2013年(平成25年)に…

存在する 15 <看護助手>

現在、医療機関で働く看護助手さんはどれくらいいるのだろう。 ずっと、気になっていました。 私が勤務する産科診療所にも看護助手さんがいて、なくてはならない存在です。 看護「助手」さんなんて呼称は不釣り合いなほど、院内全体のことを把握してくれてい…

行間を読む 68 <ヒューマンエラー>

列車を20秒早く出発させたら謝罪する日本社会と羆に襲われた事件、そして事故調査が終わる前に次々に「事実」として報道されてしまう社会の3つの記事は脈絡がないようで、ひとつの関心を持って書いたものです。 それはヒューマンエラーとでもいうのでしょう…

医療介入とは 99 <医療と植物園>

久しぶりの「医療介入とは」です。 最近、植物園や温室を巡る機会が増えたのですが、どちらといえば植物の多様生に改めて気づくことが増えて、世界はひろいなと感じることがきっかけでした。 植物園をまわると、どの植物園でもだいたい「薬草」の展示があり…

行間を読む 62 <「法は人に不可能を強いてはならない」>

一生に一度あるかないかの幸運に遭遇したので、もう私の幸運は使い果たしたかもしれません。なんといっても一勝九敗の人生ですから。 ところが、「一生に一度あるかないかの不幸や悲劇」にはなんだかまた当たりそうな気がするところが、人間の不安の不思議さ…

事実とは何か 23 <機械化で人は減らせるのか?>

人海戦術の時代から機械化が進むと、少ない人数で大工事も短期間で終了できるのは確かだろうなと思います。 江戸時代に玉川上水を作っていた時代と、現代の治水工事を比較しても明らかですね。 ただ、どんな「現場」でも機械化が人を減らすことができるのか…

思い込みと妄想 34 <壮大な社会実験と現実の医療>

医療サイトのm3com.に「カンボジアに日本式病院 医療の海外展開」というニュースがありました。 日本医療の海外展開の一環として日本政府が設立を支援してきたカンボジアの病院が首都プノンペンに完成し、20日フン・セン首相らが出席して開院式典が行われた…

記憶についてのあれこれ 102 <耳が聞こえにくくなるということ>

医療関係のニュースを配信しているm3.comに、「新型人工中耳の保険運用了承」という記事がありました。 新型人工中耳の保険運用了承 中医協、伝音難聴と観音難聴含む混合難聴に使用 化学工業日報、2016年7月29日(金)配信 厚生労働省の中央社会保険中央協議…

行間を読む 56 <種痘の接種制度の変遷>

種痘とその副反応である種痘後脳炎についてほとんど知らなかったことに気づいたので、今回もまた自分自身の勉強ノートのような内容です。 検索していたら、「種痘研究の経緯 ー弱毒痘苗を求めてー」(平山宗宏氏、2008年、小児感染免疫)という論文が公開さ…

事実とは何か 6  <どの当事者になるか>

天然痘と予防接種である種痘について、あらためてほとんど私は何も知らなかったと感じながら、昨日の記事を書きました。 予防接種には副反応の問題が必ず起こるのですが、種痘の副反応については全く記憶になくて、今回、「種痘後脳炎」という言葉を初めて知…

記憶についてのあれこれ 96 <天然痘>

「後日また続きを考えて書いてみますね」と言ったままになっている記事が多く、書く書く詐欺になってしまってすみません。 朝、目が覚めるとふと今日書きたいことが浮かんでくるのですが、いざパソコンの前に来ると一行も書けないことがあります。 そんな時…

10年ひとむかし 11 <入院中の洗濯物>

私自身は入院したことがないのですが、日々、入院される方に対応しているなかで、もし私だったらこうして欲しいと思うことはなにか考えると、入院中の洗濯を心配しなくてよいことです。 寝衣に関しては基準寝具のひとつとして、「病衣(びょうい)」と呼ばれ…

記憶についてのあれこれ 86 <病院の引っ越し>

数カ所の総合病院で働いたのですが、そのうち2回、病院の引っ越しを経験しました。 1人で2回の引っ越しにあたるのは、確率としては高い方ではないかと思います。 ちょうど1990年代は、60年代とか70年代に建てられた病院の建て替えが多い時代だったのかもし…

記憶についてのあれこれ 84 <「エレファント・マン」>

「障害」というと、必ずと言って思い出されるのがエレファント・マンという映画です。 19世紀のロンドン。生まれつき奇形で醜悪な外見により「エレファント・マン」として見せ物小屋に立たされていた青年、ジョン・メリック(ジョン・ハート)。肥大した頭蓋…

ケアとは何か 13 <「実はこんなにスゴかった 日本の看護師」>

先日、偶然つけたテレビで「世界が驚いたニッポン!スゴーイデスネ!!視察団『実はこんなにスゴかった 日本の看護師2時間SP』」を放送していたので、途中からその番組を見ました。 「小児科病棟」「入院病棟」「手術の現場」「夜勤業務」「緊急医療ヘリ」「診…

医療介入とは 97 <輸液の歴史>

昨日の点滴バッグの進化の回想から、もう少し輸液について検索していたら輸液製剤協議会というサイトに「輸液の歴史」が書かれていました。 輸液の起源は17世紀になって、Willium Harveyが「血液の循環の原理」(1628年)を発見したことが端緒とされ、イギ…

記憶についてのあれこれ 75 <樹脂と輸液>

「樹」脂といっても今日は植物の話ではなく、医療の話です。 通勤中の電車のテレビ広告で、樹脂を扱っている会社のものがありました。 身の回りにある様々な物に樹脂、特に合成樹脂が使われるようになって、本当に便利になったなと思います。 身近なところで…

行間を読む 48 <救急医療は「医の原点」>

先日来、「善きサマリア人」とは何か考えながら検索しているうちに、「救急医療の現状と課題」という投稿文を見つけました。 「日本の救急医療の歴史」(p.104)では、1970年代からの救急医療の変遷が書かれています。 2000年代に「たらい回し」という言葉で医…

記憶についてのあれこれ 74 <夜間の救急対応>

タカ派の麻酔科医さんのコメントへのこちらの返事で、1980年代に私が勤務した総合病院では「夜間救急入り口」はあっても「救急外来という部署はなかった」と書きました。 その意味のひとつは、実際に建物の構造上「救急外来」という独立したスペースが院内に…

思い込みと妄想 13 <げっぷと窒息への不安>

「思い込みと妄想」で書いてきた記事は、どちらかというと代替療法や自己啓発的な話について書いてきました。 健康や人生に対する不安が強いと、すでにわかっている対処方法は耳に入らないどころか、わかりやすい自分が求めている話のほうが受け入れやすく、…