秋から冬にかけてプールがすく季節は、水泳連盟主催などの子ども向けの水泳教室を開いている公共プールが多いようです。
2コースぐらいがこうした団体利用にあてられていて、多いと40人ぐらいの小学生がにぎやかに泳いでいます。
赤や黄色などカラフルなキャップやゴーグルをした子供たちの横を泳いでいると、なんだか私がニモの横を泳いでいるマグロのように感じるというたわいのない話です。
ニモのようだと書きつつ、ニモの映画を観たことはないのでまたお手軽にwikipediaを覗いてみました。
映画の影響として「クマノミを見ると『ニモ』と答えてしまう人が後をたたない」と書いてあります。
すみません。私もその一人です。
「マグロのように泳ごう」と今年の決意を書いた記事の中で、葛西臨海水族園に行った時も「あ、ニモだ」とまず思いました。
それ以来、プールが水族館のように見えてしまうのです。
<子どもたちと水泳>
私が5年生まで通った小学校は寒冷地手当てが出るほどの地域だったので、屋外プールもありませんでした。
夏休みに2〜3回、海へ泳ぎに連れて行ってもらうのが楽しみでした。
6年生になって少し標高が下がったところへ転校したのですが、その学校には屋外の50mプールがあって9月の初めまで体育で水泳の授業がありました。
そして夏休みにはプールへ通う課題も与えられていて、その頃はそんなに泳げなかったけれど水の中にいられることが大好きでした。
現在、どれくらいの小中学校にプールがあるのだろうと調べてみましたが、正確な統計はわかりませんでした。
「今後の学校プールの有効活用に向けた基礎研究」(2011年)という修士論文が公開されていて、その中に「現在、プール施設は全国で35844施設あるが、そのうち小中学校のプールは25988施設であり、全体の72.5%」という数字が書かれています。
文部省のHPでは2007年の学校数は小学校が22693校、中学校が10955校になっています。
あまり正確な計算ではないのですが、上記のプール数を割ってみると、小中学校にプールがある学校はおよそ7割程度ということになるのでしょうか。
小中学生で泳ぐ機会が少ない子どもたち、プールが身近な施設ではない子どもたちがまだまだいるのでしょうね。
<「泳ぐ」ということ>
1980年代に東南アジアで生活していた頃は私もまだ本格的に泳いでいたわけではありませんが、「そこに水があれば飛び込みたくなる」本性はあったようで、海に入って泳ぐのを楽しみにしていました。
休日になると現地スタッフたちと、難民キャンプのすぐそばの海へ出かけていました。
ところが現地の人は、ほとんど海へ入りません。
入ってもTシャツのままで海水に「浸る」だけで、泳ぐ人はいません。
海のそばで食事をしたりのんびりすることが楽しみのようです。
私はさっそく泳ぎ始めたのですが、ものめずらしそうに眺めているだけでした。
こんなに素敵な海がすぐそばにあるのだから毎日でも泳ぎたいと思うほどでしたが、現地の人は「泳ぎを習ったわけではないから、怖い」と言うのです。
熱帯で、海がそばにある地域の人は泳ぎが上手だと勝手に思っていたのでした。
漁師の家の子どもたちは、さすがに潜水や泳ぎが遊びでもあり、仕事でもあるような毎日ですから上手でした。
たとえ泳げる場所があっても、泳ぎを教わる機会がなければ人は泳ぐことが難しいのかもしれません。
今の時期にプールで出会うあの小さなニモたちも、「プールへは行きたくない」と駄々をこねて無理やり連れられてきているのかもしれません。
でもきっと今教わったことは、きっと将来泳ぐための自信になると思います。
プールが身近にあって、泳ぐことを教えてもらえる。
それはとても幸せなことだと思えるのです。