看護職の夜勤、二交代か三交代か

「『看護師2交代制』3割に 夜勤含む労働、16時間声も 労組が病棟調査」(朝日新聞、2014年11月7日)という記事がありました。

看護師らの長時間勤務につながる「2交代制」を採用している病棟が3割に達したと、日本医療労働組合医労連)が6日発表した。1999年の調査開始以来、最も多い数字で、このうち半分以上の病棟で夜勤を含む勤務時間が16時間以上になっていた。


看護師の勤務は1日8時間前後が基本の3交代制が主だったが、人手不足などから3交代制が増えている。
調査は医療連が夜勤実態把握のため毎年実施。全国452施設の3159病棟の看護師ら約10万人を対象に今月6月の勤務実績を調べたところ、2交代制の病棟は30.0%で、99年(6.5%)の約4.6倍に増えていた。
医労連は「患者の安全や看護師らの健康への影響が危惧される。人手不足解消のためにも、退職した看護師らが復帰できるよう、長時間夜勤の改善が必要だ」という。

私個人の気持ちとしては、「まだ3割しかないのか。2交代もいいのに」といったところです。


<本当に2交代は3交代よりも健康へ悪影響をするのか>


1980年代初めに看護師になって働いた病院は3交代でした。日勤のあと、数時間したら深夜勤(23:30〜9:00)に出勤、あるいは準夜勤(16:30〜0:00)のあと数時間眠ったら日勤に出勤でした。


また準夜勤の翌日が休みや、休みの後の深夜勤もあり、休日らしい休日が少なくなります。
当時、国公立ではこの純粋な3交代の方式以外は選択がありませんでした。


次に働いた民間の病院では変則制の3交代を実施していました。
日勤に対して、中勤(14:00〜22:00)と長勤(21:30〜9:00)という勤務です。
これなら夜勤明けはしっかり休めますし、小さい子どもを持つ看護職も子どもを寝かせ付けてから出勤できるので好評でした。


実は、そのあと少しだけこの医労連が関係している病院で非常勤で働きました。
記事にある「1999年の調査開始」以前でしたが、徹底して2交代に反対の姿勢を持っていました。
医労連の施設では「日勤→深夜」あるいは「準夜→日勤」はさせず、次の勤務まで16時間以上はあけるという点は徹底していました。でも「休み→深夜」のように休日といってもその日の夜中には出勤しなければならないのは、3交代のシステムではどうしようもありません。
病院の雰囲気は好きだったのですが、常勤になったらまた3交代になるが嫌で非常勤として働きました。


その後、別の総合病院に就職しましたが、そこは2交代制であることも選択の理由でした。
しばらくして2人夜勤から3人夜勤になったので、16時間勤務でも休憩時間を確保できるようになり、さらに体は楽になりました。


人手不足解消には、スタッフ数の増員が最も効果的だと思います。
2人夜勤から3人夜勤へ、そしてさらに最近では夜勤も日勤と変わらないぐらいの看護職を配置している施設もあるようです。


「患者さんが眠っている夜勤帯」ではない、夜勤の忙しさを認めて夜勤者数を増やすこと。
それが「夜勤をやってもいいかな」と思える人を増やすのではないでしょうか。



<急性期病院と診療所の温度差>


他の診療科についてはよくわかりませんが、周産期医療の中で考えると冒頭の記事の「人手不足解消のためにも退職した看護師が復帰できるよう長時間夜勤の改善が必要だ」という2交代制反対の理由に納得ができません。


日本の分娩の半数を担っている産科診療所では「夜勤パート」の募集をしている施設が多いと思います。
産科の場合、夜中の入院や分娩が多いので3交代よりは2交代の方がスタッフ側としても動きやすい点がありますから、「夜勤パート」というのは通常16時間勤務を前提にした募集です。


けっこう、急性期の総合病院で働いている助産師の応募がある印象です。


なぜか。
7:1看護を取り入れている病院でればスタッフが当然多く、しかも「月8回以内の夜勤」と有給休暇を含む休みの確保を遵守していることでしょう。
「月8回」というのは二交代であれば4回分の夜勤です。
看護職の給与は一見高いのですが、この夜勤手当があるからです。


中には月に3回ぐらい、夜勤のパートに入る方もいます。
多忙な急性期病院で働きながらで大変そうと思うのですが、休みの日を6日つぶしてもまだ休みがあることと、その3回分の夜勤のアルバイトで10万円ぐらいは稼げるからでしょう。


それがいけないということではなく、そうしたアルバイトに依存している産科診療所は、常勤者を減らし人件費を節約します。
そこで働くスタッフにとっては、綱渡りのように不安定な状態であるという2重構造が問題とされていないことが問題なのだと思います。


急性期から有床診療所まで、夜勤手当に頼らなくてもよい基本給にまず引き上げる事、常勤として働き続けられる労働環境には何が必要なのか、もう少し様々な施設に合わせた多様な対応策を考えることではないかと思います。


三交代か二交代だけの選択ではなく、三交代も二交代もあるいはそれ以外も含めて個人の生活にあった方法を選択できればよいのではないかと思います。



夜勤についての記事のまとめはこちら