看護職の夜勤について思うこと

私はどちらかというと夜勤が好きです。
昨日書いたように3交代勤務は体に合わないのですが、2交代なら日勤をするよりは体が楽です。


翌日が日勤だと思うと、反対に「朝きちんと起きなければ」と緊張して夜中すぎまで眠れなくなるのです。
子どもの頃から目覚まし時計がいらないほどきちんと朝起きられる私なので、学生時代まではなんら問題の無く「朝起きて、学校に行き、夜眠る」という生活でした。


ところが、「日勤が終わって、家で3時間ぐらい眠って深夜勤に出勤」「準夜勤が終わって、家で3時間ぐらい眠って日勤に出勤」というシフトが入った途端、「朝起きて仕事に行くと思うと前日から眠れない」状態になってしまいました。


ですから、日勤は常に寝不足で出勤。
仕事中は集中していますから問題ないのですが、日勤が3日も続くと食欲もなくなり、強健な胃なのですが胃痛がしてきます。
正直、夜勤の方が私には合っています。


<夜勤・交代制勤務の健康上のリスク>


私の周囲の友人や同僚をみても「夜勤のほうが合っている」「夜勤はつらい」という人に分かれるようです。


1980年代頃までは、こちらの<夜勤がある業種が増えた>にも書きましたが、夜勤、特に女性で夜勤がある業種は限られていましたし、社会全体に夜は眠ることが当然でした。


その後、「24時間動き続ける社会」が当たり前のようになり、男女を問わず夜勤・交代制勤務のある業種が増えてきました。
それに伴って、夜勤が健康に及ぼす影響がいろいろと報告されてきました。


2003年の「睡眠不足の*よる過労死・事故を防ごう」という民医連のサイトにあるような、糖尿病、消化性潰瘍、不整脈・高血圧のリスクです。(*は「に」の間違いと思いますが原文のまま)


2012年頃の資料ではないかと思いますが、看護協会が行った「2010年病院看護職の夜勤・交代制勤務等実態調査」をまとめた「看護師の夜勤・交代制勤務に関するデーター」という資料が公開されています。(直接リンクできないのですが、上記名で検索してみてください)
この中では、乳がんのリスクが追加され、さらに国際がん研究所(IARC)では「サーカデイアンリズムを乱す交代制勤務」は「Group 2A 発がん性がおそらくある」に分類されている事が書かれています。


リスクがあっても夜勤をなくしたら医療も他の業種も成り立たないわけで、リスク比較をしながらベネフィットをとるしかないわけです。


<夜勤勤務者の個々の状況の多様性>


私個人は、日勤だけが続いたらおそらく早々に胃潰瘍になり、睡眠不足で不整脈・高血圧にもなっていたのではないかと思います。
二交代(16時間夜勤)の夜勤明けや夜勤の前日なら、精神的にも時間的もゆとりがあるので熟睡できるタイプです。


比較的、夜勤を中心にストレスの無い生活のリズムを作れたのは、10年前まで勤務していた総合病院でも今のような「7:1」「夜勤(準夜・深夜)は月8回以内を遵守」を徹底しないと病院のランクが下げられてしまうようなしばりがなかったことがあるのかもしれません。


というのも、「夜勤ができない」「夜勤が苦手」なスタッフは夜勤回数を減らし、その分、私のように夜勤が合っている人には夜勤回数を多くするという融通もつきましたし、なによりも慢性的な人手不足で夜勤回数が自然と多かったからです。


そして産科診療所に移ってからは、助産師が少ないので私が月に2交代の夜勤を10回以上しなければまわらない状況もあります。
さらに忙しい日は16時間休憩もなく働き続けて、そのあと続けて数時間ぐらい超過勤務のこともあります。


ただまあ、夜勤が合っている私にはそれでよいのですが、産科診療所の看護職の労働環境に関してはどこに訴えたら改善するのでしょうね。


<夜勤ができるできないで大きな収入の差>


夜勤を1回すれば夜勤手当1万数千円になります。
夜中の労働の大変さを考えれば安いとは言えないのではないかと思います。
ただ、日勤だと処置や手術など夜勤以上の業務量を8時間の中でこなしていることが多いので、日勤と夜勤の業務の賃金差はどのように考えたらよいか、私にはよくわかりません。


問題は、夜勤の回数がスタッフによってばらつきがあると、月の給与に数万円ぐらいの差ができてしまうことです。
もっと給料を稼ぎたいから、夜勤を多くして欲しいと思う人もいることでしょう。


私自身は夜勤のリズムが体調管理には合っていることと、分娩介助や夜中に活発な新生児に合わせてお母さんと赤ちゃんのケアをじっくりできる16時間が好きなので、日勤と同じ時給換算だとしても夜勤を選択したい方です。


看護職も夜勤に対していろいろな感じ方があるでしょうから、自分の生活にあった勤務を選択しやすく、さらにスタッフ間で不公平感がでないようにするには、まずは基本給をあげることではないかと思えるのです。


そして有床診療所では未だに前近代的な一人夜勤のところもあるようです。
最低でも複数夜勤になることがまず第一歩ではないかと思いますが、経営者に理解してもらうには看護職は本当に非力だと感じます。


特に医療従事者にも派遣労働が認められたあたりから働き方の多様性はできた反面、人手不足と言われながら、「あなたが辞めてもかわりはいくらでもいる」という立場になってしまったのかもしれません。




夜勤についての記事のまとめはこちら