達人は日々の練習もまた達人

泳ぎに行けないと、ますます泳ぐ事ばかりを考えてしまいます。
ということで今日もまたプール関連の話です。


うれしい話題としては、「FINAワールドカップ東京大会がなくなってしまうのが残念」と書いたのですが、日本水泳連盟の来年の大会情報を見たら11月に「FINAスイミングワールドカップ2015東京大会」がありました!


海外のトップスイマーの泳ぎを見ることができる貴重な国際大会ですから、本当にうれしいです。


日本選手権やジャパンオープンもそうなのですが、開場直後にいくと選手の方々のアップをしている様子をみることができます。
試合ももちろん楽しみなのですが、この競技直前の練習風景も楽しみであり学ぶ事がたくさんあります。


<試合開始直前のアップ>


ひとりひとりの選手にすれば、それまでの長く苦しい練習からその日の準決勝・決勝のたった1、2本のレースのために精神を集中し、泳ぎの最後の調整段階なので真剣そのものなのだろうと想像しています。


できれば、1レーンを占有してでも集中した調整をしたいぐらいではないかと思います。
でも参加選手がたくさんいるので、1レーンで何人もが泳いでいます。


10年ほど前に会場でこのアップの様子を見始めた頃はただ応援している選手だけを追っていたり、泳ぎのフォームに見とれているだけでした。
最近は、別の視点からこのアップの様子を見ることができるようになりました。


それぞれの種目、それぞれのスピードあるいはそれぞれの調整方法がある中で、周囲の選手とお互いに譲りながら泳いでいる様子が見えるようになったのです。


1レーンで数人の選手が泳いでいる中で、他の選手にぶつかることがなくスムーズに泳いでいるのは、それぞれの選手が同じレーンでアップしている他の選手の泳ぎ方やスピードを瞬時に判断しているからで、緩急をつけた泳ぎ方をしたりプールエンドで追い越させたりしています。


試合であれば「相手より速く」という気持ちも、このアップでは自分の泳ぎの調整に集中しているから必要な時には相手に追い越させ、1レーンの中で最大限の人数が最大限の調整ができるのだと思います。


周囲を見渡す事ができる能力がある。
しかもいつも泳いでいる仲間ではなく、外国選手やメダリストも入り交じった刻々と変化する状況に合わせる事ができる。


こちらの記事で紹介したドレイファスモデルの「達人」という言葉が思い浮かぶのが、この競泳大会のアップの様子なのです。

膨大な経験があり、上手に引き出しにぴったりの状況で応用できる。理由があってそうするのではなく、直感に従って行う。(「正しいと感じた」)
本質に関係のない部分と重要な部分の区別が無意識下にできる。


ただの直感でもだめで、「達人になるには生半可ではない、本気の努力が必要でただ取り組むだけでは不十分」だし、ただ何年やったという長さでもないのですね。


目の前を泳いでいる20歳前後の選手たちの練習風景に「達人」という言葉が思い浮かぶほど、泳ぎを極めた人たちを見る事ができる機会です。
是非、お近くの方は少し早めに辰巳へ向かわれることをおすすめします。