ゼニアオイ

銭葵(ゼニアオイ)の花を初めて見たのは3〜4年ほど前、父がまだグループホームで生活していた頃でした。
面会に行く途中の道ばたで見つけました。


子どもの頃にはその地域では見たことがないので、とても珍しい花なのではないかと写真をとりました。
そして花に詳しい同僚に見せたら、「え?ゼニアオイでしょ?どこでも咲いているわよ」とあっさり言われてがっかりしたのでした。


たしかに、リンク先の「季節の花」の説明にも「江戸時代に渡来」とあります。


「野の花散歩」というサイトの「ゼニアオイと葵各種」の説明にも、こんなことが書かれています。

かつては夏の花といえばアオイ(葵)を思い浮かべるほどアオイは日本人に親しまれてきた花であるが、タチアオイ・ゼニアオイ・ウスバアオイ等のいわゆるアオイはいずれもヨーロッパ原産の渡来種で、在来種ではない。(中略)
又、夏に咲くアオイ科の花は他にフヨウ、ムクゲ等があり、畑にはオクラが咲く。

へえ、オクラもアオイ科だったのですね。


タチアオイ室町時代に中国経由で渡来し、ゼニアオイは江戸時代に渡来したが、観賞用もさることながら、むしろ薬草として有名であった。

ほかのサイトでも「江戸時代に渡来した新しい種類」のようなことが書かれていましたが、アオイというのはそれほど、日本に古くからある花だったのですね。
私自身はあまりアオイ科の花を気にしてこなかったのか、それともあまり身近になかったのか、最近になって視界に入って来た花という印象なのです。


こうして気になった花を調べてみると、いろいろとトリビアな話があっておもしろいですね。

又、タチアオイの仲間のウスベニタチアオイ(マシュマロウ)の根の樹液に卵白を加えた菓子がマシュマロで、現在ではゼラチンで作るが、花の名前が菓子の名前の語源である。


また、花の好みもいろいろだなあと感じました。

夏を彩るタチアオイはハイビスカスと同じ仲間で、派手な印象を受けるが、野原で見るゼニアオイはむしろ可憐な花である。

たしかにタチアオイはダイナミックな大きさですが、初めてゼニアオイの花を見た時に、やや濃いめの紫がかったピンク色の花びらの中心に濃い紫の模様が入っている様子がとっても派手に感じたのでした。
それで、てっきり現代人の好みにあった海外の花なのだろうと。


それにしてもネジバナ花タバコあるいはヒメオドリコソウなど、この十数年で初めて気づいた花の多さに、自分自身あきれています。
世の中を見ているようで、案外自分の見ている範囲は狭いのだと、最近野の草花に関心が出たことで痛感しています。