助産師と自然療法そして「お手当て」 50 <「自分らしく、わが子らしく」>

お一人目を助産院で出産された時のご経験を教えてくださったさこさんのコメントから、久しぶりに助産所のHPの定点観測をしてみました。



以前は、「身体観」とか「出産観」といった言葉で、自分の体をコントロールし自分らしいお産をするための、主に身体的な代替療法が盛んに取り入れられていました。
マクロビとか整体とかヨガとか。


そのうちに、「自分」だけでなく「わが子」もコントロールするためのさまざまな代替療法も出てきました。
まんまる子育てとか、ヒプノとか。


まあ、それ以前からもこうすれば良い子に育つとか育てやすいといった話はくりかえされてきたのですが。


周産期医療の中でそれらの方法を「効果がある」と勧められるほど人間は簡単なものではないのに、驚くほど多岐にわたる助産所での業務内容と民間資格を誰も何とも思わないのか不思議でした。


とある県の助産師会のHPでは、所属する助産院の「業務内容」のカテゴリーが表示されています。
「入院分娩」「出張分娩」「出張沐浴指導」「来所母乳育児指導」といった、私が助産師学生の頃に教わった助産所の業務の他、「ベビーマッサージ」「ベビーヨガ」「妊産婦整体」「ベビー整体」「いのちのはなし」などがあげられています。


大丈夫ですかね?


きっと10年前だったら「ホメオパシー」も入れていたことでしょう。
助産師会も積極的に講習会を開いていたのですから。



<「自分らしく」から「わが子らしく」へ>



さて、久しぶりに助産院の定点観測をして気になったのが、「自分らしく」「わが子らしく」という表現が、どこを切っても金太郎のように使われていることでした。


「ISD個性心理学協会認定 ISD個性心理学マスターインストラクター」という資格があるようです。

ISDロジックは「自分を知る」「相手を知る」「個性を生かす」ためのものです。その先には「より豊かなコミュニケーション」と「人を動かすチカラ」が生まれ、あなたにとって想像以上の「明るい未来」が待っています。
ロジックは生年月日をベースに10万人以上の統計、分析、検証を繰り返し、103万6800通りのデーターベースから作成されました。大きく分けて3分類、さらに詳しく6分類から12分類、60分類、バイオリズム、適正、能力相性にまで枝分かれします。


「ママと子の子育て相性学」という本も出しているようで、「小さいうちから親が子どもの持つ『もち(才能)』に気づき、その子にあった育て方をすると、子どもの才能はぐんと伸びます!」と書かれています。


私だったら、「子どもは親の背を見て育つ」「親は反面教師」の二言が普遍的でかつ本質的なことだと思いますね。
まあ、こういう自己啓発本を頼りに子育てするのもそれぞれの選択なのですが。


ただ、助産師という資格で、しかも開業助産所でこういうものを広げることは、社会問題として認識される必要があると思います。
バイブル商法の広告塔になり、あっちの世界助産師とその助産師がかかわった親子が行ってしまわないと良いのですが。




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