観察する 13 <ボタニカルアート>

11月24日、都心での雪は54年ぶりという日に日比谷公園に行きました。
前日はお天気だったので本当に降るのかなといぶかっていましたが、朝起きたら雪に変わっていたのでびっくりしました。


何を好き好んでこんな雪の日に公園に散歩をしにいったかというと、目的はその日が最終日というボタニカルアートの展示会でした。
凍えるような寒さでしたが、紅葉に雪というなかなか見ることのできない美しさと静寂の中、展示会場へ入りました。


ボタニカルアートとの出会い>


ボタニカルアートという言葉を初めて知ったのは、30年以上も前、東南アジアで暮らし始めた時に地図を探しに入った書店でした。
お目当ての地図も、他の本も、日本で手に入るものと比較して印刷も紙の質も悪く、あまり欲しいものが見つからない中で、1冊のボタニカルアートの本が目に入りました。


たしかイギリスで描かれたものだったと思います。
19世紀から20世紀にかけて、東南アジアの珍しい熱帯の植物を絵に残したものでした。
その書店では熱帯植物の植物図鑑もなかったので、何か役に立つかもしれないと購入しましたが、実際には図鑑としてよりも、精神的に滅入る時にその絵を観て癒されていたのでした。


そして写真のように精緻な絵がずっと印象に残っていたものの、いつの間にかその本も手元を離れ、ボタニカルアートという言葉からも遠ざかっていました。


この10年ほど、道ばたの草花に関心が出て、ブログの中でも植物に関して小学生の観察日記のようなことを書いています。
家にも植物図鑑が増えたのですが、こちらの記事にも書いたように、写真をみても実物と同じようには見えないことがあって、探している植物を見つけることができないことがしばしばあることを不思議に感じていました。


先日、そのボタニカルアートの展示会のポスターを偶然目にして、あの絵の方が実物に近いと感じることがあったのは何故だったのだろうと、興味がわいたのでした。



ボタニカルアートには何が描かれているのか>


展示されていた絵には馴染みのある植物もたくさんありましたが、道ばたの名も知れぬ草花もありました。


その中に、秋になると子どもの頃から身近な花だったのに、名前を探してもわからなかった花の絵がありました。
アキギリという名前であることを、初めて知りました。


絵を観てひと目で、この花だとわかりました。
それまで図鑑やネットで検索しても、なかなかわからなかったのです。


写真だと、花の紫色が微妙に実物と違うことがまず、検索してもわかりにくかった理由だと思います。
そして、たとえば花を中心にして写すと、茎や葉といった全体がぼやけてしまって、他の似た植物と区別しづらくなることもあるかもしれません。


人の手で書いたもののほうが、真実に近いように見えるのは不思議でした。




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