「産後のトラブルを考える」まとめ

先日、さらさんからコメントをいただきました。産後4か月もの間、出産に起因すると思われる排泄障害を抱えたままだったとのことです。


日本にどれだけ同じような女性がいらっしゃるのだろう、そして世界中にはどれくらいそれで苦しんでいる女性がいらっしゃることでしょうか。
そして、人類の歴史の中でどれだけの女性が出産によって排泄障害を負ったまま絶望の人生をすごしてきたのだろう。
気が遠くなる思いです。


出産後に体の不調を感じても、羞恥心や施設スタッフへの遠慮か、あるいは赤ちゃんへの責任感からか、一人で抱え込んでいる方もいらっしゃるのではないかと思います。
こちらが尋ねて初めて「実は失禁するのです。こんなことを言ってよいかわからなかったので」と、そのことがわかることがあります。
尋ねなければ、そのまま黙って退院されて、私たちも何も知らなかったことでしょう。


ケアを必要とする側がケアも担うさまざまな状況がなかなか社会に認知されないのはなぜでしょうか。


もしかすると、お産に対するファンタジーが、「都合の悪いことはなかったことにしたい」という心理にさせるのかもしれません。



先日のボタニカルアートでは、見た目が悪い部分でも「それが『初めからなかった』ことにしてはならない」ことが大事であることを紹介しました。
目を背けたり、自分の好きなように描き変えれば、現実の問題はいつまでたっても目に入らないことでしょう。


お産のファンタジーに翻弄された結果が、この30年ほどの周産期看護の遅れなのだと思うことを書いています。


1. 産後のトラブルを考える
2. 産褥期の排尿トラブルはなぜ起こるのか
3. 出産年齢と排尿トラブルの関係
4. 高年妊娠・出産の特徴と産後のQOL(生活の質)
5. 高年初産と母乳育児
6. 産後の排尿障害にどう対応してきたか
7. 産後の尿失禁についての最近の考え方
8. 昔はどんなトラブルがあったのかー産後フィスチュラ
9. 出産と便失禁
10. 産後の排便トラブルの実際
11. 出産が肛門や骨盤底筋群に与える影響
12. 出産と骨盤底筋群の損傷に関する資料
13. 仙骨神経刺激療法
14. さとえさんのお話を聞いてください
15. 過去記事のまとめ
16. あおばさんのお話を聞いてください
17. 4度裂傷の対応方法の変化
18. 排泄トラブルと子供の成長、そして自責の念
19. ケアを必要とする側がケアを担う
20. ケアーが必要になった人のパートナー
21. 家族崩壊を防ぐための現実的な解決策
22. 産科医療補償精度ー無過失補償制度
23. 産科医療補償制度の対象を拡大できないか
24. 「便失禁診療ガイドライン 2017年版」
25. 感染症拡大時の乳腺炎の対応

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