シュールな光景 7 <「孤食でも鏡をみればおいしさアップ」>

「『えっ』と目を疑うような」と言う表現はこういう時に使うのかと思うような新聞記事がありました。


孤食でも鏡を見ればおいしさアップ 名古屋大が研究結果


 1人の食事も、鏡を見ながら食べればおいしくなるーー。そんな研究結果を、名古屋大学の研究チームがまとめた。核家族化で1人で食べる「孤食」が課題になる中、手軽に「食事の質」を高めることができるかもしれないという。論文が5月26日付けの米科学誌に掲載された。


 実験では、高齢者(65〜75歳)と大学生(20〜23歳)のそれぞれ16人が、塩味とキャラメル味のポップコーンを1分30秒間食べた。正面に鏡を置いた場合と、ほぼ同じ大きさのモニターに壁を映しておいた場合の味の感じ方や消費量の違いを比べた。


 「おいしさ」を6段階で評価してもらったところ、高齢者も大学生も、鏡を見ながら食べたほうが、塩味、キャラメル味ともにおいしく感じていた。食べる量も約5〜13%増えていた。


 また、鏡ではなく、自分が食べている姿を映した画像を見ながら食べた時も、壁の画像を見ながらの時より、おいしく感じ、食べる量も多かった。


 研究チームの名古屋大学の中田龍三研究員(心理学)は「誰かと共に食べる『共食』でおいしく感じることは知られている。だが、人がいなくても自分以外に食べるという状況を共有する人がいるだけでおいしくなることがわかった」と説明する。


 鏡でなくても、人が食事をしている写真や、食事シーンの映像でも同様の効果が得られる可能性があるという。中田さんは「1人の食事を簡単においしくする方法としてぜひ試してみてほしい」と話している。
朝日新聞DIGITAL、2017年5月31日)

今日のタイトルは「食べるということ」にしようかとも思ったのですが、いややはり「シュールな光景」ですね。


心理学の研究方法については全く知らないのですが、「鏡で自分の食べている姿を見ながらたべるとおいしさが増す」という発想(仮説)がどこから来たのか、そしてそれを実験にするということが「学問」であることに、強烈な違和感を感じたのでした。
そして、なかば強引に感じる結論の導き方にも。


そして「1人で食べることよりは人と一緒に食べる方がおいしい」あるいは「人と一緒に食べることのほうが良いこと」という価値観が、「孤食」と「共食」という言葉にある信念のようです。
ところで、「共食」という言葉は初めて聞いたのですが、「ともぐい」って読んでしまいました。


確かに、「孤独のグルメ」を観ながら食べていると、ホント、食欲が亢進します。
でも、あの番組の良さは、目の前の食事にただただ集中することにあるのだと思います。
五郎さん(松重豊氏)の食べ方がおいしそうなことと、料理や人生へのウンチクのかけらもないからこそのおいしさなのですね。


それこそが、人生のどんな境遇になっても食事をおいしく食べることができる秘訣かもしれないと、回を重ねるごとに思うようになりました。


鏡で自分の姿を見て食べれば「孤食じゃない」「おいしくなる」なんて、本当に勘弁ですね。
なんでしょうか。
こんなこともニュースにしてしまう今の世の中。
なんだかシュール。




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