風邪気味かなぐらいのやや体調が悪い時には、野菜を多めに入れたスープとかうどんなどがむしょうに食べたくなって、そして食べるとだいたい元気になります。
ところが寝込んだ今回は、久しぶりに何も食べたくない日が続きました。
とりあえず何か水分と栄養になるものを口にしなければと栄養ドリンクとジュースを飲み、2日ぐらいしてようやく「お粥なら食べたいかも・・・」と思えるようになりました。
でも作る元気もなく、ふらりと買い物に出かけたらそこにはレトルトのお粥が!
いつものスーパーなのに、元気な時には目に入らなかったのですね。
助かった!と思って買い込みました。
梅干しまで入って、ほんのり塩味が効いて、まさに生き返るような気持ちでした。
既製品のお粥なんて、とちょっと馬鹿にしたことを反省。
ああ、やっぱり体調が悪い時にはお粥が欲しくなるものなのだと、いつも仕事で見ている病院食を思い出していました。
今回はなかなか体調が回復しなくて、流動食から全粥食になったものの、おかずはほとんど食べたくない日がまた2日ぐらい続き、ようやく食べたいと思いついたのが大根おろしにしらす干しでした。
子どもの頃に体調が悪い時に食べさせてもらった食事に戻っていくのかもしれません。
私はお粥と一緒に餃子を食べるのが大好きなのですが、これも小さい頃に、元気が出始めると食べたくなるもののひとつでした。
今回は流動食から全粥、そして常食になるまで1週間ぐらいかかってしまい、まだいつものおかずを食べたいという気持ちがあまり出てきません。
食欲がでないというのは、それはそれで不安になるものですね。
<「手術後病院食の国際比較」>
だいぶ前に、海外の病院食についての記事を書いた記憶があるのですが、検索しても出てきません。
犬養道子さんの本に、ヨーロッパでの大腸がんの術後食がいきなりステーキだったことが書かれていて、海外の術後食とか病院食がずっと気になって来たので書いたのですが。
その時に参考にした資料よりももう少し詳しいものが、公開されていました。
「ファイザー ヘルスリサーチニュース vol.24 2000年7月」の「手術後病院食の国際比較」です。直接リンクできないので、関心のある方は検索してみてください。
「はじめに」にはこんなことが書かれています。
病人がとる食事というものは、栄養学的な要素から考えられていると同時に、その国や地域の食文化と深くかかわっているものと想像される。米を主食とするわが国においては、米のお粥を中心とした病院食のシステムとなっている。消化器手術後には、重湯から始まり三分粥、五分粥、七分粥、全粥と徐々にお米の多く、水分の少ないお粥となり、最終的に通常の御飯である常食となる。このようなお粥のstep upのシステムは日本の術後食の特徴である。世界の国々においてどのような病院食、術後食があり、どのようなシステムになっているかの検討や国際的な比較検討は現在までいっさいなされていない。米を主食とする東アジア、東南アジアにおいては、はたして日本と同様なお粥のstep upの術後食があるのか、また米文化ではない欧米ではどのような術後食が存在するのが、非常に興味のあるところである。また、術後食の栄養学的な国際比較、各国の食文化が術後食に与えている影響など、世界の病院の食事は科学的側面と文化人類学的側面を合わせ持つ、幅の広い研究テーマである。
たしかに、文化人類学的側面からの病院食や術後食について、ほとんど文献らしいものがない状況かもしれません。
私たちが体調が悪い時に「食べたい」と思う食事は、食文化と深いつながりがあるはずなのですけれど。
お粥などの術後食と対比的に思い出すのが乳児期の離乳食ですが、あの頃に食べた物が体に記憶されていてお粥と一緒に食べたくなるのかなとも考えてみたのですが、離乳食の時期というのはむしろ成長・発達にともなって食欲が亢進している状態ですから、元気がないときとは食べたいと感じるものも異なることでしょうし。
・・・ここまで書いていたら、なんだか餃子を食べたくなってきました。
元気が戻ってきた証拠かな。
でも、餃子って「伝統の和食」でもないし、私のこの回復期の食欲はどうやって形作られて来たのでしょうか?