気持ちの問題 43 <何かをしているように見える人>

都議選は蓋を開けてびっくり。
私には「大山鳴動して鼠一匹」にしか見えないことを延々と主張してきた人たちが議席を伸ばしたのですから、本当に世の中は鵺のようですね。


まあ、毎日毎日、どのチャンネルに変えてもニュースの時間には必ず顔と発言が映し出されていれば、なんだかわからないけれど何かをしてくれているという印象を受けるのかもしれませんね。


都議選よりも少し前、6月初旬にもうひとつがっかりする選挙がありました。
日本看護協会長の選任で、院内助産とかアドバンス助産師を進めてきた方が選出されました。
選挙といっても対抗馬がなく、無投票で決まったようです。


看護協会は看護師・助産師・保健師の3部会があります。
代替療法や自然なお産あるいは完全母乳といった迷走ばかりの助産師の世界に比べて、対象を観察しそこから理論を考えていくことを積み上げて来た看護師さん保健師さんからは立候補者もなく、まさかの助産師からの2代続けての会長選出です。
大丈夫でしょうか、看護協会。


私は個人会員として登録しているので、看護協会ニュースを読むぐらいしか関わることがないし、新会長のこともこうしたニュース媒体を通じてしか知らないのですが、助産師の現実にある多様な問題とは違う方向に導いて来たのではないかと思っています。


<鵺(ぬえ)のような社会のひとつの理由>


ここ20年から30年ほどの助産師の世界の方向性を作り上げて来た人たちと、今回の都議会第一党を生み出した人に共通点があるなあと思いました。


それは、「威勢がよい言葉が多い」こと「カタカナ語を多用すること」、そして「今までのやり方を批判し、覆すことが好き」なこと。


「院内助産」「アドバンス助産師」「助産師出向システム」といった新たな制度を打ち出す割には、その効果も看護協会ニュースを読む限り「大本営発表」の印象です。
「アドバンス」「オールジャパン」なんて意味のわからない英語で煙に巻いて、現場には必要のない高額な民間資格制度を導入しました。
何よりも、現場で社会の変化に試行錯誤してきた多くの助産師を、「自律していない助産師」であるかのように社会に印象づけたことも似ています。


業績の中身はともあれ、こういう立場の人がニュース記事としては移り映えが良いのでしょう。
繰り返し繰り返し聞かされれば、名前が記憶に残り、「何だかわからないけれど何かすごい人」と認知されていくのかもしれません。


そしてその責任はとらずに、いつの間にかまた次のポストを得て行くのでしょう。


選挙の翌日に「党首は辞めます」といっても、だまされたとも感じない社会。
そういう人が好きなことが、鵺のような社会が広がる理由かもしれないと思いました。




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