赤ちゃんに優しいとは 14 <「ま〜るい」がなんとなくよさそうと広がる>

「ママのお腹・生まれたての赤ちゃんの骨格はま〜るいC字カーブ」というナレーションが聞こえてきたような気がしました。
最近ちょっと疲れていたので、幻聴だったのかなと思って検索したら、本当にムーニーの宣伝でそう言っているようです。


大丈夫でしょうか。


妊娠・出産・育児関係の情報には、まんまるとかふわふわといった言葉が人を魅きつけるようですが、そこから思わぬ深みにはまることもあるかもしれません。


たしかに胎児は子宮内で丸くなっていますが、それはこちらの記事で紹介したように、狭い子宮内で成長するために屈筋が優位になっているからで、生まれたあとは時間をかけて伸筋が発達していくようです。
生後わずか1日2日ぐらいの新生児でも、手足を伸ばしたり、少しのけ反るような姿勢がでてきたり、どんどんとその身体の動きが変化しているようです。


「新生児の姿勢は胎内と同じC字カーブがよい」という話は、医学的には聞いたこともありません。
まして胎児や新生児が「その姿勢がここちよい」と思っているかどうかなんて、調べようもないことはこちらからお母さんたちには言いません。


どこから私がその「C字カーブ」という言葉を聞いたのかと言えば、10年ほどまえの赤ちゃんの頭の歪みとかを言い始めた助産師のグループです。
「正しい寝かせ方」という思い込みから、いろいろな商品を販売し、ついには大人までC字にくるんだのには驚きました。


「ま〜るく」とか「C字カーブ」がよさそうと、宣伝のイメージから検索してたどり着くのは、全く赤ちゃんには必要のないことばかりの世界にならなればよいのですけれど。


一旦、世の中に広がった言葉が少し聞かれなくなったと思ったら、また亡霊のように甦ってくるのを見てしまったような気持ちです。



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