境界線のあれこれ 81 <酒と酢>

お酒との付き合いはかれこれ40年ほどになりました。
あ、成人前から飲んでいたことは見逃してください。
一応、適量を見分けながらほどほどに飲み、人に迷惑をかけることもない飲み方をしてきたということで。


は発酵によってでき、さらに発酵が進むとになることは知識としては知っていましたが、実感したのはヤシ酒を作っているところを実際に見せてもらった時でした。
ほどよいアルコール度の飲み物だった液体が、飲むタイミングを逸するとどんどんと酸味の強い液体、しかも酔うこともない液体に変化してしまいます。


昔の人はお酒として飲む時期を見極めるために大変だったのだろうなと、いつでも安定した発酵状態でお酒を飲める現代はなんとありがたいことかと飲ん兵衛は感謝したのでした。


こちらの記事に書いたように、ちょうど1980年代半ばに円高の時代になって輸入品が身の回りに増え、ワインやワインビネガーといった世界中の「酒から酢になるもの」が増えてきました。



ただ、漢字だとどちらにも「酉」が入っているので関係があるだろうということがわかるのですが、英語の「Liquer」と「Vinegar」だと発酵の知識がないと想像がつかない二者の関係になるのでしょうか。


ところで、この「酉」という部首について、私は大きな記憶違いをしていたことを発見。
Wikipedia酉部を読むと、「酒つぼの形に象(かたど)る」とあります。
何をどう勘違いしたのか、私はずっとこの「酉」は神に関係するものだと思い込んでしまっていました。
カカオを神の食べ物と捉えたようなニュアンスで、酒も酢も神事に必要な何かだからこの部首が使われるのだろうと。
いやはや、小学生の国語からやり直しですね。


でも、言い訳ではないですが、徐々に発酵が進んでいろいろな食べ物に変化していく様は、昔の人にとっては神業の領域だったのかもしれないと、あのシュワーっとアルコールが漂うヤシ酒を時々思い出しています。




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