10年ひとむかし 31 <動画>

今年も競泳日本選手権が4月3日から始まりました。
6日間の日程なので長い休みはとれないし、しかもNHKの放送に合わせてやや遅い時間なので仕事の後に駆けつけても翌日の出勤が辛そうなので、泣く泣く3日分のチケットだけ購入しました。


開会式のあった初日に、いつも通り早めに辰巳国際プールへ行って、選手がアップする様子を観ていました。


日本選手権を観に行くようになって十数年たちましたが、初めて見に行った時に印象に残ったのは、当時は場内での写真撮影も禁止されていたことです。
私自身は選手を写真に撮りたいという気持ちは全くなくて、それでもなぜ禁止なのだろうと最初はわかりませんでしたが、しばらく通っているうちにわかりました。
目の前に座っていた中年の男性が、おそらくお気に入りの女子選手をこっそり撮っているのをみてしまいました。


家族ならまだしも、知らない人がさまざまな理由で自分の水着姿をとっているというのは、選手にすれば不快に思うことでしょう。


それから数年もしないうちに、場内の写真撮影禁止がなくなりました。
おそらくこれは、家族や所属するスイミングクラブが泳いでいる姿を写真に残しておきたいという要望が高まったのかもしれません。


まだiPhoneもなく携帯電話の時代でしたから、場内では家族と思われる方々が、望遠レンズのついた本格的なカメラで撮影する姿が増えました。
でも、じきにビデオカメラで撮影する人の姿にとって変わりました。


家庭用ビデオカメラは1990年代から立ち会い分娩で持参される方がボチボチと出現しましたが、Wikipediaカムコーダーを読むと、「2005年(平成17年)に容易に片手持ちが可能なサイズ」の製品が発売されたことが書かれているので、やはりこの時期あたりから、場内での撮影もカメラというよりは一気にビデオに変化したのかもしれませんね。


競泳大会の映像はそれまでNHKテレビ朝日が撮影したものしか見ることがなかったのですが、そのような業務用・放送用のビデオに対して、「一般市民がプライベートな目的で気軽に撮影することを目的とした」家庭用は「民生用」というのですね。民生用という表現はなんだか古くさく感じるのですが、わずか20〜30年ほどに生まれた言葉ということになるのでしょうか。


私のiPhoneは3代目ですが、これまでほとんどカメラとビデオ機能は使っていませんでした。
写真を撮るのはたまに道ばたの植物を記録するぐらいでした。
頻繁に使用するようになったのはここ2〜3年で、散歩の記録の手段としてです。
しかも動画は、湧水水音ばかりでした。


競泳大会では撮影に気を取られるよりも、この目に焼き付けておきたいという感じだったので、写真や動画を撮ったことはありませんでした。
今回、また近くで古賀選手がアップを始めたので、動画に残しておこうとふと思いたちました。
試合本番は、やはりただただ集中して観たいと思いましたが。


後で見直すと、観客席からはそれなりに距離があるのにけっこう綺麗に撮れていて驚きました。
しかも地図とおなじくびよ〜んと指で拡大できるので、泳ぎの細部まで観ることができます。
それが、この手のひらに載るサイズの小さな道具で撮って再生できるのですからすごいことですね。
そして、それをSNSで他の人も見ることができるようになったのもここ10年ほどのことですから、なんだかすごい時代の変化の渦中にいたのだと、改めて思いました。


競泳会場に行き始めた頃は、こうして選手の方々の泳ぎ方を後で何度も観て学ぶことができる時代がくるなんて想像もしていませんでした。
10年後にはどんな変化があるのでしょうか。




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