世界はひろいな 44 <トップスイマーと一緒に泳ぐ>

よく行くプールで、私が十数年前に競泳に関心を持ち始めた頃に活躍されていた方を偶然お見かけしました。
当時、国際大会にも出場されて、メダリストにはなれなかったけれども、ある種目の今の勢いを作り出された選手のお一人だった印象を持っていた方です。
その後は指導者としてご活躍されていらっしゃることを、競泳関係のニュースで耳にしたことがありました。


すぐにその方だとピンときましたが、こんな区民プールで泳がれるのかと半信半疑でした。
でも泳ぐ姿は、本当にこれがトップスイマーだった方の泳ぎだという滑らかなものでした。


競泳観戦の楽しみのひとつに、競技開始前のウオーミングアップを見ることがあるですが、「同じプールの中で選手の泳ぎから生まれる水の抵抗を感じるくらい近くで見てみたい」と思っていました。
期せずして、その元選手の方の泳ぎを同じプールで見ることができて、幸せな気分でした。


その方と同じ頃から活躍し始めた北島康介氏が、90年代に平泳ぎの第一人者だった林享氏と小学生か中学生の頃に同じプールで泳いだことが、その後の競泳への強い動機になったことを何かのインタビューで読んだことがあります。
トップスイマーと一緒に泳ぐというのは、そんなにもすごい経験になるのだと印象に残りました。


最近では、各地のプールや小学校にこうした活躍した選手・元選手の方々が行って、こどもたちと一緒に泳ぐ機会がたくさんあるようです。
うらやましいですね。
私もその元選手の泳ぎを間近で見ることができて、もし今こどもだったら、競泳選手を目指したくなるだろうなと思いました。



<カテインカ・ホッスー選手と泳ぐ>


先日、あのカテインカ・ホッスー選手が小学生スイマーと泳ぐために来日したというニュースがありました。

リオ五輪で金メダル3つの競泳女王が来日「東京が大好き」
2018年5月11日(金)マイナビニュース



リオ五輪で3つの金メダル、1つの銀メダルを獲得したハンガリーの競泳女王カテインカ・ホッスーが、13日(18:30〜)に放送されるテレビ朝日系バラエティ番組『ビートたけしのスポーツ大将』2時間半スペシャルに登場し、次世代スイマーと真剣勝負を繰り広げる。


前回の放送では陸上短距離の現役最速男タイソン・ゲイが登場したが、今回もホッスーが『スポーツ大将』のために来日。ホッスーは「清潔で人々がとても親切な東京が大好きなんです。だから東京に来られるチャンスがあるならいつでも行くわ、という思いがありました」と親日家の一面を明かす。


番組では日本が誇る小・中学生最強スイマーと対決するが、「レースはとても楽しかったです。ただ、メドレー対決では50mごとに子供たちが飛び込んでくるのは私にとっては楽しい経験ではなかったですけれど(笑)」と苦笑いで振り返る。


また、ホッスーは日本の次世代スイマーに、「彼らはこの競技の未来を担う存在だからね。だから私がここに来て彼らと話して一緒に泳ぐことで彼らにアスリートとしての刺激やモチベーションを与えられたら光栄だわ」とエールを送った。


ホッスー選手の泳ぎを見られるなんてと、いそいそと録画予約をしました。
200m個人メドレーを4人の小学生と対決する場面では、さすがにホッスー選手が「楽しい経験ではなかった(笑)」と言うほど、4人が飛び込みからスタートするハンディがあるのでこどもたちに負かされてしまいました。


でも、最初にホッスー選手が登場した時にこどもたちの顔がパッと輝いたのを、カメラがとらえていました。
「ほんとうに現れるとは思わなかった」と言うこどもの言葉にホッスー選手も笑っていましたが、雲の上のような海外のトップスイマーと一緒に同じプールで泳ぐことが叶うなんてすごい機会ですね。


きっと長い目で見て、テレビを観ていたたくさんのこどもたちの「もっとうまく泳げるようになりたい」という励ましになったかもしれませんね。


そしてその偉大な壁を超えてみたいという動機になるだけでなく、超えられないほどの壁が努力と経験と専門性によるものであることへの敬意になるかもしません。




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