10年ひとむかし  54 路線バスの変化

高校時代はバス通学でした。今から40年以上前のこと。

村に外国人がやってきたに書いたように、路線バスに時々米軍兵士が乗り込む特殊な地域でした。

卒業して都内に戻ってきてからもバスを利用していましたが、当時は都心でも、あの地域ほどはまだ外国の乗客をバスで見かけることもない時代でした。

 

また、まだ高齢化がそれほど進んでいたわけではないので、1970年代から80年代のバスや電車内では、歩くのもやっとという感じの高齢者を見ることはありませんでした。

 

 

十数年ぐらい前に父が認知症になった頃から、頻繁にその地域に帰るようになって、路線バスを利用する機会が増えました。

 

*車内の転倒事故に対するリスクマネージメント*

 

大きな変化を感じたのが、歩くのもやっと、つかまるのもやっとという高齢者が乗客の大半を占めるようになったことでした。

 

それに伴って、バス内の「暗黙のルール」の変化や運転士さんたちの緊張感が伝わるようになりました。

以前だったら、降りる場所が近づいたらドアの方へ近づいて降りる準備をしていました。

 

いつ頃からか、年齢に関係なく、バスに乗るたびに「走行中に席を立たないでください」と注意されている場面に出会います。

客観的にみると足元もおぼつかないし、走行中に車内を移動しようとしてバランスを崩したり、どこかに掴まって体勢を立て直す反応や力も衰えている方々が席を立とうとしていて、こちらもヒヤヒヤしています。

まだまだ停留所までだいぶあるのに降りる準備を始めるのは、年をとると気持ちが焦るのか、それとも以前の暗黙のルールが体に染み込んでいるのでしょうか。

そして、耳も遠くなったり、あるいは頑固になっているのか、運転士さんの注意も耳に入らないようです。

 

発車時にも、必ず乗客が着席するかつり革に掴まったかを確認しているので、以前のように乗客がバス内に入ったとたんに動き出すこともありません。

 

*外国人旅行客が増加した*

 

以前は地元の人と米軍関係者しか使わなかった路線バスですが、もうひとつの変化が外国人旅行客の急増です。

観光ルートにそれまでの路線バスのルートを組み込んで、長距離化したようです。

 

バスに乗ると、乗客のほとんどが大きなスーツケースやバッグを持った外国人観光客のこともあります。

乗った瞬間に、もしかしたら「日本人」は運転士さんと私だけかもしれないという日もありました。

時々、走行中に行き先や料金のことで運転士さんに英語で話しかけていて、言葉の通じない運転士さんが困惑している様子がよくありました。

 

最近、この路線バスルートにたまに、英語と中国語を話せる運転士さんを見かけるようになりました。

 

10年ぐらいで思い返してみると、バスの運転士さんの業務量とその質は大きく変化しているのだろうと思います。

 

 

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