子どもの頃に引っ越した地域には、ヤマユリがあちこちに咲いていました。
ユリは庭で育ているというよりも、道端や野山のどこにでも自生している花でした。
ちょうど夏休みに入る頃に咲き始めてここかしこに良い香りが漂うので、いまでもユリの香りは大好きで、子どもだった時代の思いも一緒に蘇るような花です。
70年代終わり頃に看護学校に入学するために都内に戻った頃に、都心でのおしゃれな花屋さんで見かけたユリは、真っ白のものばかりでした。
ヤマユリのように花びらに斑点がありません。
当時も1本数百円から千円以上もする高価な花でしたから、都会はユリも違うのかと、それまで私にとってユリといえばヤマユリだったのに、ちょっと格下げされたような気持ちになったのでした。
その頃から耳にするようになったカサブランカですが、「1970年代にオランダの育種会社で育成され、世界的なブームを呼んだ」とありますから、真っ白なユリは都会のユリだったわけではなくて、ちょうどその頃に広がりだした新種だったようです。
ヤマユリが「百合の王様」で、カサブランカは「ユリの女王」だそうです。
いつ頃だったか、ユリは日本が原産で、ヨーロッパに広がって品種改良が行われたということを知りました。
今年に入っても、なんの番組だったか忘れましたが、「シーボルトがヨーロッパへ持って帰った」という話が紹介されていました。
Wikipediaの「種としてのユリ」を読むと、日本特産の種が7種もあるようです。
Wikipediaのヤマユリの説明でも「花の香りは日本自生の花の中では例外的と言えるほど、甘く濃厚でとても強い」とあるように、ユリというとその姿や香りの華やかさから、ヨーロッパから入ってきたものかと思っていたのでした。
ユリは、日本の中でどのように変化し、どのように広がっていったのでしょうか。
その歴史を考えると、少し気が遠くなるような感覚に陥っています。