医療介入とは 1 

産科で働いていると「医療介入」という言葉を聞いただけで、「不要」という声が聞こえるようでぴっと身構えさせられてしまうところがあります。


幅広い視点からみれば健康増進や疾病予防も含めて「医療」ですし、助産師であれ開発途上国の伝統的産婆であれ、その国の医療システムの中の資格者が妊娠・出産に対応すること自体がすでに「医療」であり、医療知識・技術を使っていることが「医療介入」といえるでしょう。


ただし、それはあくまでも医学的モデルを中心にしたとらえかたであって、妊娠・出産そして育児についてのその国の文化や習慣、あるいは社会の変化にともなうニーズの変化といった社会的モデルの中では、「医療」あるいは「医療介入」という言葉は、さまざまな受け止められ方になっていきます。


たとえば、「妊娠や出産は、病気ではないから医療ではない」ととらえる方もいます。
病気に対応するシステムという狭義の医療という受け止め方です。
病気にならなければ医療とは無縁、あるいは病気になっても医療を受けることができない社会であれば、そのような妊娠・出産の受け止め方も社会的モデルとなることでしょう。


日本の中では、誰がどのように何に対して「不要な医療介入」と受け止めるのか。
それに対して実際に分娩介助してきた私自身にはどういう答えがあるのだろうか。


WHOの勧告や、妊娠・出産に関する「医療行為」についてさまざまな研究や見解があるけれど、目の前の産婦さんに対してそれは「答え」になるのだろうか。


私は臨床の一助産師に過ぎないのですが、だからこそ、一見理路整然とまとめられた研究や調査の結果に「そうとは言えないことが起きるのが臨床」という歯がゆさがあります。
そのあたりを伝えることで医療介入という言葉を考え直すきっかけにしていただけたらと思い、しばらく書いてみようと思います。


正解があるような話ではないので、「あれは不快だった」ということも含めて皆さんと一緒に考えていけたらと思います。



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